今治市教科書訴訟、請求を棄却:松山地裁

 愛媛県今治市教育委員会が2010年度の中学校社会科歴史・公民教科書に扶桑社版を採択したのは違法として、市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」が訴えていた訴訟で、松山地裁は4月23日、請求を棄却する判決を出した。

 採択には瑕疵がみられないと判断し、採択の無効確認についても住民訴訟の要件を満たさないとした。
 扶桑社版は当時の「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書である。現行で使用されている教科書は、「つくる会」系が内部分裂を起こしたことに伴い、「つくる会」主流派は扶桑社とたもとを分かって自由社から教科書を発行した。元「つくる会」反主流派は「教科書改善の会」を立ち上げ、扶桑社の子会社・育鵬社から教科書を発行している。
 「つくる会」系教科書については、歴史や社会の認識の問題で事実に反する内容や著しく一方的な記述などがあり、特定の政治的な主義主張を子どもたちに押しつけようとする内容になっていることが指摘されている。しかも、戦争肯定や人権軽視など、現代社会にとっては見過ごせない内容でもある。
 この教科書の採択をめぐっては、支持する一部教育委員が強引な手法をとって採択させようとしたことなどの問題が、各地で指摘されている。判決の結果はともかく、こういう教科書が学校現場で使用されていて良いのかどうかという点については検討を要する課題である。
(参考)
◎教科書採択、住民側請求退ける 松山地裁(共同通信 2013/4/23)