大分県立竹田高校剣道部事故、行政側は控訴せず

 大分県立竹田高校剣道部員だった男子生徒が2009年8月の練習中に倒れて熱射病で死亡した事件で、指導していた顧問・副顧問や搬送先の病院の対応が不適切だったとして、家族が学校管理者の大分県・搬送先の病院を運営する豊後大野市および指導教員個人を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、大分県と豊後大野市は3月31日までに、約4656万円の支払いを県と市に命じた大分地裁判決(3月21日)を受け入れて控訴しない方針を決めた。


 一方で家族側は、顧問教員個人の賠償責任について、国家賠償法の規定により個人責任が問われなかったことを不服として、控訴することも検討しているという。
 一審判決では顧問教員の不適切対応そのものについては認定されている。その一方で、教諭は公務員だとして、賠償責任は県が代わりに負うことになった。
 学校の教育活動上の行為では、一般的に言えば個人だけに非を帰するのはふさわしくないような性質の事故や損害などもあり、国家賠償法の規定自体は一般論という意味では必要だろう。
 ただ今回の場合、一般論の枠にはとどまらない。故意によるもの、もしくは限りなく故意に近いような重大な過失にあたるものだといえる。体調不良の兆候を放置して、練習を続けさせようと暴力まで加えるなど、明らかな問題行為だろう。
 これまでの判例では、故意や重大な過失の行為でも公務員に直接賠償責任を負わせることはできないとして、個人に対する直接の賠償請求を退ける判決が相次いでいる。一度行政が賠償し、行政当局が必要と判断すれば任意で個人に求償することことはできるものの、これはあくまでも行政側の自主判断で被害者側が権限を行使できるものではなく、行政側が求償しないこともあり得る。
 家族側が控訴する場合、これまでの類似事例から考えると厳しいことが予想されるが、控訴審ではこれまでの判例を覆すような新しい見地に踏み込むことを願う。