いじめ被害者が証言、相模原市いじめ事件

 神奈川県相模原市立中学校3年の男子生徒が継続的ないじめを受け、同級生の加害生徒3人が傷害や暴行の容疑で逮捕され保護観察処分になった事件で、被害生徒が毎日新聞の取材に応じていじめの実態を話している。


 毎日新聞2013年3月26日『相模原・中3いじめ:被害生徒が証言「同じような子、もう出さないで」 訴え届かず失望、諦め』より。

 「お前の死刑は確定した」。昨年10月17日の昼休み、生徒は学校の図書室前の廊下で男子同級生に言われ、顔を膝蹴りされた。さらに頭を抱えられ、廊下の壁に数回打ち付けられた。鼻の骨が折れ廊下に血が滴った。
 いじめは1年生の時に始まった。最初は同じクラスの男子にささいなことで言いがかりを付けられた。10年10月ごろ、サッカーの部活動中に同級生部員とトラブルになり、倒れたところを複数に囲まれ顔などを蹴られた。前歯が欠け、頭を強く打ち病院に運ばれた。
 2年でさらにエスカレートし、理由もなく殴られ蹴られた。バッグを踏まれたり教材をばらまかれたりし、靴や上履きは少なくとも5、6足無くなった。
 いじめに関わったのは同級生数人。生徒と母は1年の時から、担任教諭らに何度も被害を訴えたが、学校側は学年会で話し合うことはあっても「けんか」「トラブル」と判断して抜本的な対策は取らなかった。市教委にも報告しなかった。
 生徒は「何かが変わると期待して訴えているのに何も変わらなかった。がっかりするくらいなら、何も言わない方がましだ」と思った。諦めから11年9月ごろ以降、担任に被害を訴えるのはやめた。担任は被害が無くなったと思い込み「感情のコントロールができるようになった。成長した」と生徒を褒めた。
 事態は悪化し、3年生の昨年9月7日、同級生に腹を回し蹴りされた。10月11日、トイレで別の同級生2人に殴ったり蹴られたりした。母子が神奈川県警相模原署に被害を相談したのは同17日の暴行の3日後だった。
 学校側は9月の暴行で警察に被害届を出すよう母に勧めながら、「警察が学校に来て初めて事態の深刻さに気づいた」と主張。さらに市教委が継続的ないじめを把握したのは同級生が逮捕された12月になってからだった。

 いじめの凄惨さもさることながら、いじめ被害を訴えてもまともに対処しなかった学校の対応にも強い疑問を感じる。被害を訴えても何もしないというあきらめを植え付けながら、被害がなくなったかのように扱うなど言語道断としか言いようがない。
 この事例の場合、警察に被害届を出すことでやっと解決の方向に向かったものの、学校側がきちんと対処していれば被害は最小限に収まっていたのではないだろうかという疑念が残る。