「体罰」取材の毎日新聞「記者ノート」

 毎日新聞2012年2月25日付『記者ノート:名門校頼み』。部活動強豪校といわれる学校で発覚した「体罰」を取材した時の裏話的なものを載せている。


 愛知県立豊川工業高校陸上部監督による「体罰」事件。日常的な暴力があり、不登校や転校・退学に追い込まれた生徒も複数いるという。同校は高校駅伝の強豪校として知られ、加害者となった監督の教諭は駅伝愛知代表チームの監督も務めたことがある。
 同校での「体罰」発覚後の保護者会は30分で終了し、会場から出てきた保護者への取材を試みたものの、小走りで走り去る人ばかり、ようやく一人の保護者が取材に応じてくれたものの、「取材を受けたことがわかると、何を話したか他の保護者から詮索される」と話したという。取材に応じた保護者は、「体罰」についても話しにくい雰囲気があることも認めていた。
 一般に「体罰」では加害教師を擁護する間違った傾向も生まれる。特に全国区や全県レベルの指導者のいる部活動では、その傾向が顕著となる。豊川工業高校の事件でも、まるで被害者が「自分が部活動についていけず不登校や退学になったことを逆恨みして、指導者に責任転嫁した」かのような中傷も「信者」からなされ、また監督本人もそのように受け取れるような言い訳をしていたとされている。
 記事では「必要以上に学校や顧問をあがめ奉り、体罰をも許す環境になれば、我が子の将来を奪うことになりかねないのではないか。教師の体罰が問題となる今、親の力も試されている。」と結んでいる。
 「体罰」で競技力や人間力が向上するなどというのは、全くの幻想であることは、教育学・心理学・脳科学など各分野の研究で明らかになっている。また「体罰」は単なる暴力であり、子どもたちへの人権侵害・虐待行為でもある。
 教師はもちろんのことであるが、保護者の側も「体罰」を一切否定する立場に立てるかどうかが問われているといえる。