福岡市いじめ教師停職撤回、再審請求断念は間違い

 福岡市立小学校教諭・林田真二が2003年、児童に暴力やいじめ行為を繰り返してPTSDにさせたとして停職6ヶ月の懲戒処分を受けたことを不服として人事委員会に訴え、人事委員会が2013年1月に処分を撤回した問題の続報があがっている。「軽微な『体罰』はあったもののいじめではなく、処分するほどではない」という判断で、市教委も再審請求をおこなわないことを決めていると報じられている。


 しかしこの事件のどこが「軽微」なのだろうか。2008年に確定した民事訴訟の判決では、林田が「髪の毛が赤い人」「アメリカ人」「血が混じっている」などと発言したこと、児童に暴力を繰り返したこと、児童の持ち物をゴミ箱に捨てるなどの嫌がらせをしたこと、児童が心因性の症状を発症して通院を余儀なくされたことを認定している。そのうえで、林田の行為を「いじめ」とはっきりと断じている。
 一方で加害者の林田は、事件を「モンスターペアレントのでっちあげ」と描き、同調者の福田ますみなるジャーナリストがその主張に沿った被害者中傷書籍を出版するなど、マスコミぐるみでの攻撃がおこなわれた。
 一方で林田の裁判での主張や中傷書籍でも、「児童を注意した際に軽微な『体罰』を加えた」と動機を歪めながらも、林田が児童に暴行を加えたこと自体は否定していない。
 中傷文章の発行元となったのは新潮社であり、ほかにも中傷書籍の趣旨にそって被害者を攻撃する主張をおこなったのは、当方が確認しただけでも公明新聞(公明党、2007年8月3日)とRKB毎日(2008年5月27日)の2媒体があったことを記録しておきたい。
 被害者中傷書籍は、「マスコミによるセンセーショナルな報道」で教師が陥れられて報道被害を受けたかのように描いているが、実際はこの書籍そのものが「センセーショナルな報道」をおこなって被害者に報道被害を与えた形になっている。
 「でっちあげ」本やそれに沿った被害者中傷の内容と、判決文を読み比べれば、「モンスターペアレントのでっちあげ」という主張がいかにでたらめなでっちあげかがわかる。

 この文章では「被害者の家族に外国人がいること自体が嘘であり、裁判でも嘘が認められた」などと主張しています。しかし実際は家族歴についても被害者の主張通りで、この主張は林田真二と福田ますみによる創作だということです。もっとも、仮に百歩譲って両親の主張が嘘だったとしても、児童に暴力を加えていいという理由にはなり得ません。
 また林田の「体罰」を見た者はいない・福田ますみの取材でも誰も林田の暴行を証言した者はいなかったなどという主張についても、実際は「福田ますみに対して林田の暴行の事実を証言したが、福田が意図的に無視している」とする情報が当方にも寄せられています。
 挙げ句の果てには「《林田の『体罰』はなかった》という証言が裁判で同級生や保護者からされなかった。これは周辺の人間がモンスターペアレントとの関わりを恐れて証言できなかったから」かのように、自分の都合のいいようにすり替えたおめでたい主張までおこなっています。しかし「林田が『体罰』・暴行をおこなった事実はない」という証言が誰からもされなかったのは「モンスターペアレント」のおかげではありません。林田の暴力は事実にほかならないため、「暴行はなかった」と証言できる人など、この世の中のどこを探しても存在するはずもありません。
 それどころか林田真二自身が、児童への暴行の事実をマスコミ取材に対しても裁判でも認めています。もっとも「言うことを聞かないからたたいた」かのように事実関係をゆがめていますが、暴行の事実自体は否定していません。このことからも、林田の暴力が「でっちあげ」だったという根拠はありません。
 また裁判の結果についても、被害者の主張が認められなかった部分ばかりを意図的に大きく取り上げて、自分たちに都合の悪い事実認定はほとんど無視し、あたかも「被害者の主張がほとんど退けられた」かのようにゆがめて描いています。いじめや暴力が認められたことなど、実際は林田の主張こそが全面的に退けられたものであることはいうまでもありません。
 問題の核心は「モンスターペアレント」ではなく、林田真二の暴力・いじめ行為です。教師の暴力事件に対して教師擁護や暴力正当化の傾向が際だっている福岡市教育委員会ですら事件の事実を一部認定せざるを得なかったこと、また裁判でも暴力・いじめが認められている以上、被害者の虚言という前提自体が根本的に成立しません。それどころか林田真二と福田ますみの虚言ばかりが浮き彫りになります。
 結局、林田真二や福田ますみの主張は、「林田真二がおこなったいじめ・暴力行為」という問題の根本から目をそらし、副次的な問題に過ぎないような枝葉末節・また外部から検証が困難と思われる枝葉末節をあげつらい(反論できないと踏んであげつらっているようでも、実際にはぼろが出まくっていますが)、事実関係を我田引水的に曲解して騒ぎ立て、被害者とその家族を根拠なく「嘘つき」「モンスターペアレント」呼ばわりして陥れていくというものです。
 こういう主張は、教師の対生徒暴力(いわゆる「体罰」)事件やいじめ、人為的ミスの疑いの強い学校事故などでよく見られる、被害者への中傷の典型的なパターンです。
(当ブログ2009年2月10日)

 福岡市教委は、「いじめ」と認定している判決文をみても「軽微」「いじめではない」というのか。「騒ぐのがいるから、とりあえず認めておけばいい。税金なので懐は痛まないし、今後再発しても知らない」とでも思っているのだろうか。
 問題は故意の暴力・いじめ行為である。教師としては絶対に認められないような行為である。「飲酒後一晩休んでアルコール分が抜けたと思って車を運転したら実際はアルコールが検知されて酒気帯びで摘発され懲戒免職になった」などとは違い、一切同情の余地はないはずである。
 しかもこの事件は、福岡市のみならず日本の教育史上でも、加害者の居直りと加害者・同調者による被害者中傷という意味では過去に例を見なかったほど悪質である。学校関係者や地域住民に口コミで悪口を広めるレベルならこれまでにもあったが、加害者側がマスコミを使って公然と居直って恫喝し、全国規模で被害者への中傷を加えたのは、おそらくこの事件が初めてである。
 福岡市教委は本来ならば、(1)「停職処分決定当時には認定しなかった、新しい懲戒処分相当の事実が出てくれば追加処分を検討」という2003年当時の言明に従い、林田を懲戒免職にする。(2)2008年の確定判決で被害者に支払った損害賠償金相当額を林田に求償する。(3)人事委員会の裁定を認めず再審請求をおこなう、という対応をすべきである。
 また今回の報道が流れると、いまだに被害者中傷書籍を「事実」かのように扱い、処分撤回は当然かのような主張をおこなっている者もみられた。完全に否定されているはずの内容がいまだに「事実」かのように振りまかれて訂正もされていないのは、非常に恐ろしいことである。