全国学力テスト、学校別成績データ市長に渡さず:大阪・泉佐野市教委

 大阪府泉佐野市の千代松大耕市長が、4月に実施される全国学力テストの学校別成績を公表する意向を示していることを受け、泉佐野市教育委員会は1月8日、学校別成績のデータを市長に渡さないことを決めた。


 文部科学省の実施要綱に基づく措置である。実施要綱では、学校の序列化を招くとして学校別成績を公表しないことを要請している。
 千代松市長は2012年の大阪市の公募区長選任の際にも他市の現職市長でありながら採用の面接委員を担当していたなど、大阪維新の会に近い立場である。大阪維新の会は学校間の競争を掲げ、全国学力テストの学校別成績の公表を求めている。
 学校別成績といっても平均点でしかなく、また学力テストで計測できる学力は一部分でしかない。学校別成績の公表で数字が独り歩きし、その数字がそのまま学校の「格」かのように扱われるのは、過去の事例からも明らかである。
 また他地域では、地域統一学力テストの学校別成績公表をおこなっているところがあるが、学校選択制を導入しているところでは学校別成績公表と学校選択制での選択行動の中に相関性が見られ、学校ごとの人数の偏りが拡大したり教育条件が低下するなどの弊害が現れている。
 そもそも、ひとりひとりの到達状況を測ることを主目的としているわけではない、また全体的な傾向を知るには抽出で十分なのに実質全数調査に近い形でおこなおうとするような(全数調査復活の意向も)、どっちつかずの全国学力テストである。そもそも導入の経緯からして競争と序列化を志向したものであるが、国民世論の批判を受けて表向きには後付けの理由を付けざるをえなくなったという経緯がある。
 全体的な傾向を知り教育政策に活かすという意味での抽出調査そのものまでは否定しないが、現行方式で実施する限り全国学力テストは中止すべきだし、参加を取りやめることが望ましい。だが少なくとも、学校別成績を公表しない、公表意向を示している市長にデータを渡さないという教育委員会の措置は支持できる。