「指導死」問題のシンポジウム開かれる

 教師の行き過ぎた生徒指導が原因とみられる児童・生徒の自殺問題で、子どもを失った家族のグループが11月18日に東京都内でシンポジウムを開いた。


 同グループでは、教師の行き過ぎた生徒指導が原因とみられる自殺を「指導死」として、「指導死」をなくすために活動しているという。7人の家族からそれぞれの「指導死」体験や「指導死」をなくしたいという思いが語られたという。
 同グループによると、「指導死」とみられる児童・生徒の自殺事例は、1963年~2011年の48年間で少なくとも41件把握しているという。同グループでは今後国に対して、実態解明を求めていくとしている。
 「指導死」とみられる自殺問題(未遂含む)は、時々発生し新聞報道もされている。以下は当方で把握している「指導死」事例(自殺未遂含む)の一部である。なお、今回シンポジウムを実施したグループとは独自に、当方が新聞報道などをチェックして事例収集したものである。

  1. 東京都・中学校(1952年) – 授業開始時の礼の時にくしゃみをしたとして担当教諭が暴力ふるい廊下に立たせる。生徒は廊下から飛び降り自殺。
  2. 福岡県・高校(1962年) – 授業科目とは別の本を開いていたとして、教諭が3時間以上にわたり生徒を罵倒して暴力。生徒は翌日、この教諭の実名名指しする遺書を残して自殺。
  3. 福島県・中学校(1976年) – 職員室から貯金通帳が紛失したとして、ある生徒が盗んだ疑いがあると決めつけた教師らが集団でこの生徒を取り囲んで暴行加え自白迫る。保護者側の抗議で一度は収まったものの、半年後に蒸し返されて再び追及される。生徒はその直後に自殺。この生徒は無実で、通帳窃盗に関わった真犯人は生徒の死後に摘発された。
  4. 岐阜県・高校(1985年) – 陸上部員の生徒が、顧問からの日常的な暴力を伴う「指導」を苦にして自殺。
  5. 兵庫県・小学校(1994年) – 教室で運動会のポスター制作について質問した児童が、教師から「何回同じこと言わすねん」などと怒鳴られた上にたたかれた。児童は直後に自殺。
  6. 埼玉県・中学校(2000年) – 学校でお菓子を食べたとして指導を受けた生徒が、その日の夜に自殺
  7. 長崎県・中学校(2004年) – 喫煙を疑われた生徒が教師の指導中、校舎の窓から飛び降りて自殺。
  8. 埼玉県・高校(2004年) – 試験中のカンニングを疑われた生徒が、教師5人から長時間取り囲まれて「指導」受けた直後に自殺。
  9. 福岡県・小学校(2006年) – 児童が清掃中に誤って別の児童にぶつかったとして、担任教諭はこの児童につかみかかるなどしたうえ暴言を吐いた。児童は直後に教室を飛び出して行方不明になり、自宅で自殺。
  10. 北海道・高校(2008年) – 教師から長時間指導を受けたあと、「教師から『死ね』『バカ』などと罵倒された」と訴える遺書を残して自殺。
  11. 佐賀県・中学校(2009年) – 校内の落書きへの関与を疑われて事情を聴かれていた生徒が、教師が目を離した間に校舎から飛び降りてけが。
  12. 京都府・中学校(2009年) – 生徒指導担当の教諭から指導を受けた直後に校舎から飛び降り自殺。
  13. 愛知県・高校(2011年) – 野球部員の生徒が、野球部顧問の暴力を伴う指導を苦にして自殺。

 個別事例の中身を見ると「行き過ぎた」どころか、吊るしあげて教師のシナリオに沿った自白を迫ったりするなど、人権侵害レベルの内容も多い。児童・生徒の命を失わせるような「指導」は、決してあってはならないことである。このような事例をなくすためにも、個別の事例について深く調査・研究し、教訓を共有していく必要がある。
(参考)
◎“教師の言動で自殺”危険性訴え(NHKニュース 2012/11/17)
◎教師に叱られ自殺…“指導死”の背景調査求める(テレビ朝日webニュース 2012/11/17)