高校日本史:都教委が特定教科書の採択妨害か

 『週刊金曜日』7月27日号(web版では8月16日掲載)に『「君が代強制」に触れた教科書――都教委が採択妨害か』とする記事が掲載されている。

 記事によると、2013年度1年生から使用予定の高校日本史教科書について、「君が代」強制に触れている内容がある特定の教科書を採択するなと東京都教委が圧力をかけているという内容である。
 問題とされた教科書は、実教出版『高校日本史A』。国旗・国歌法に関する内容が、都教委にとってはよほど不都合らしい。教科書の記述は、以下のようになっているということ。

日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある。

 別に事実に反する内容や誤解を招くような記述等もない。何の問題もない記述である。
 それでも、右派にとってはこの記述がよほど不都合に見えるらしい。産経新聞は2012年3月以降、非難キャンペーン記事を断続的に出している。
 高校教科書は各学校ごとに採択されることになっているが、都教委は2012年5月以降、産経新聞の記事も引き合いに出しながら、実教出版の教科書を採択しないよう各学校に圧力をかけているという。元記事では担当者の実名も記されている。
 都教委の対応を受け、校長が独断で採択教科書を変更したり、校長が社会科教員に対して採択変更を迫るなどの事例もあるという。
 入学式・卒業式での「君が代」強制はもっとも激しい地域の一つともいえる東京都だから、強制の動きが知られるのはよほど都合が悪いのかもしれない。
 特定の教科書への採択妨害と、右派系の特定教科書の採択推進は、現象は正反対に見えるが、実際には「特定の政治的見解を一方的に押し付ける策動」という意味では全く同じものである。