教科書採択取消訴訟、請求棄却:福岡地裁

 福岡県の県立中学校(中高一貫校)で使用されている中学校社会科公民教科書(日本文教出版・東京書籍)で、「在日韓国・朝鮮人の差別」の例として参政権が認められていないことを挙げているのは不適切として福岡県内の医師ら3人が教科書採択取り消しなどを求めた訴訟で、福岡地裁は8月6日、請求を棄却した。

 判決では、訴えを財務会計上の違法行為などに限った住民訴訟の要件を満たさないとした。一方で原告側弁護士は控訴の意向を示している。

 原告側は「『参政権は憲法上日本国籍を有する国民に限られる』とした最高裁判決(1995年)に反する誤った説明だ」 と主張した。しかしこの主張自体、「つくる会」や産経新聞などとも近い関係にある一部右派の一方的な解釈である。

 最高裁判所の判決文は「憲法上は外国人参政権を想定していないので違憲とはいえない一方で、地方参政権を認める法律等を整備することを禁止しているわけではない。永住外国人の地方参政権は国の立法措置の問題」としか読めないものである。

 「つくる会」系の極右を除く中学校・高校教科書ではこの趣旨に基づき、外国人参政権を違憲とは断定していない。

 この勢力は過去には、2010年度大学入試センター試験「現代社会」の設問で同様に外国人参政権が違法として、外国人参政権に触れた設問が不適切だと騒いだこともあった。

 訴訟を恫喝的に使用し、学問的見解とはかけ離れた政治的な主張を一方的に押し通そうというのは、問題である。請求棄却は当然のことであり、歓迎する。

(参考)
◎教科書採用中止、訴え棄却 「外国人参政権」記述巡る訴訟 福岡地裁(産経新聞2012/8/7)