大阪市学校選択制:東淀川区の資料を読む

 大阪市では橋下徹大阪市長の強い意向で市立小・中学校の学校選択制が検討され、24行政区ごとにフォーラムが開催された。

 東淀川区では5月20日にフォーラムが開催され、区役所のウェブサイトで結果が公表されている。

 東淀川区といえば、学校選択制反対の意見を「一方的な解釈」「少数の強い意見、そういったものを主張」(2012年5月21日大阪市会文教経済常任委員会)などとしたり、他にも一般市民への恫喝など数々の「武勇伝」を残す大阪維新の会の迷議員の一人、村上栄二市議(日本創新党にも所属)の選出選挙区でもある。

 フォーラム会場で集められたアンケートの集計結果を見ると、学校選択制反対の声が賛成を大きく上回っている。回答191人のうち「賛成・どちらかというと賛成」が29人(15.1%)、「反対・どちらかというと反対」が141人(73.8%)、どちらでもよい・その他・未記入が21人(11%)という結果になっている。

 「一方的な解釈」「少数の強い意見、そういったものを主張」して学校選択制導入を推進しようとしているのは、一体どっちなのだろうか。

 また「学校選択制に賛成」としている人にも、アンケートの自由記述では一定の傾向がみられた。

  • 東淀川区は遠い所からの登校、校区外にある中学があるので ぜひ導入してほしい。
  • 引越しの関係などで近くなのに学校変わるなら選択制にしても良いと思うし 又、小学校からイジメが続いてる場合なら選択制を活用できるから良いと思う。
  • 特別な地域の居住児童や特別な事情の方など保護者の意見を聞いて選べることもあれば良いと思う。このフォーラム等に金を使うなら教育の質の向上を。
  • 学校選択制にするならば、通学区域の学校が家から遠く、隣りの学区の方が近い場合は距離で決めて選択出来るようにする位いら良い
  • 臨機応変には選択制は認めるべきである。例えば校区内の学校よりも距離的にも近い学校があれば特例的に認める。

 橋下・維新が目指す学校間競争による自由選択を支持するというわけではなく、いじめの問題や、校区の学校より他の学校のほうが近いなどの事情に対応するために学校選択制を支持するという意見である。

 しかしこれは、学校選択制に頼らなくても、現行の就学指定校変更制度を柔軟に活用すれば十分に対応可能である。

 大阪市でもごく一部の地域ではあるが、小中学校の校区に調整区域を設けていることもある。校区外に引っ越しても元の学校に通学できる仕組みは、年度途中の引っ越しでその学年の年度末までの条件付きではあるが認められている。

 東淀川区では、ある中学校が新設の際に校区内に校地を確保できず、やむなく校区外に校舎を建てることになった例がある。その中学校の目の前に住んでいても離れたところにある別の中学校に通うことになる、その中学校の校区に指定されている人は遠くまで通わなければならない。賛成だとした人の自由意見ではそういう実態を念頭に置いているのであろうが、これは指定校変更制度の柔軟化や、場合によっては校区割の見直しなどで十分対応できる。

 いじめの問題は、緊急避難による転校などは現行でも認められている。またそもそも、いじめは周りの人間関係などの要素もあるので、入学してみなければわからないという性格のものであり、学校選択制にすればいじめはなくなる・被害に遭わずに済むという単純なものではない。

 橋下・維新がすすめる学校選択制は、学力テストなど一面的なものさしで各学校を競争させ、不人気校を大幅に統廃合させるという学校つぶしの計画である。また人気校と不人気校の格差ができて不人気校とみなされた学校がつぶされることで、学校がつぶされた地域では「学校から遠い=子育てしにくい」となって余計に子育て世帯が流出したり新規転入が少なくなる危険性があるなど、そのまま地域差別的な地域格差へとつながる危険性も高いものである。

 学校選択制は指定校変更制度の柔軟化とは根本的に異なるものであり、柔軟化と混同して支持してしまうと後で取り返しのつかないことになる。