児童虐待疑われ一時保護;両親が提訴

 「当時1歳半だった息子への虐待を疑われたことで、東京都墨田児童相談所が強制的な一時保護措置をとり、ずさんな実態調査で約10ヶ月間引き離されたことは不当」として、東京都江戸川区在住の両親が7月31日、東京都を相手取り約660万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 報道などによると、経過はおおむね以下のとおりのようである。
 2011年5月に母親がヘアアイロンをしていた時、男児が近づき腕にやけどをした。病院を受信したが、病院側が虐待を疑って児童相談所に通報し、東京都墨田児童相談所が一時保護措置をとった。相談所は一時保後に実態調査をおこない、ベッドからの転落による負傷やタバコの誤飲が過去にあったことが確認された。児童相談所は日常的な虐待として継続保護が必要と判断、乳児院への入所を東京家庭裁判所に申し立てた。しかし東京家裁は「調査がずさん」として2012年1月に申し立てを却下、東京高裁も同様の理由で却下し、一時保護から約10ヶ月後に児童は保護者のもとに返された。
 ずさんな調査とされたものは、(1)児相側が不鮮明な白黒コピーの写真を医師に見せ、医師はその写真を元に「アイロンを押し付けられた疑いが高い」と鑑定していたこと、(2)保護当日に保育所からの聴き取りがなかったこと、(3)保護者が病院を受診させていたのに児相側は見落としていたこと、があげられている。
 保護者側は、やけどは偶発的な事故で、一時保護の決定は「子どもにケガをさせたのは自分たちの責任でもありやむを得ない」としながら、ずさんな調査で長期間引き離されたことは不当と主張している。
 児童相談所の措置が不当とする訴訟は、私の知る限り2例目である。静岡県のケースでは、「体罰」合法化を掲げる団体の幹部(その運動団体には、あの戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長も関わっている)である両親が、日常的な虐待を加えていながら「正当な『体罰』であり正当な指導、だから虐待ではない」と主張していたという逆恨み訴訟だった。
 今回のケースについては、現時点では報道以上のことはわからない。事実関係を詳細に明らかにして今後の参考になることを願う。