いじめ事件が次々問題化した7月

 2012年7月は、大津のいじめ自殺事件で隠蔽が発覚したという報道を皮切りに、悪質ないじめ事件が次々と報じられて問題になったという印象を受ける。

 7月に大きく報じられたいじめ事件としては、以下のようなものがあった。

  • 滋賀県大津市立皇子山中学校の生徒が自殺した事件で、自殺直後に学校側が実施したアンケートの結果を学校側が隠蔽していたことが発覚。
  • 埼玉県北本市いじめ自殺事件(2005年10月)の民事訴訟、いじめ認めず請求棄却。両親控訴。
  • 静岡県浜松市立中学校の男子生徒が6月に自殺した事件で、死亡した生徒がいじめを受けていたことが発覚。浜松市は第三者委員会を設置。
  • 横浜市金沢区の市立小学校で、発達障害を持つ児童が障害者差別的な内容も含めたいじめを受け、転校を余儀なくされていたことが発覚。
  • 埼玉県草加市立中学校で、男子生徒が同級生から、校舎からの飛び降りを強要されて大けがをしていたことが発覚。飛び降りを強要した生徒4人は、強要の非行事実で児童相談所に通告。
  • 兵庫県赤穂市の中学生が顔見知りの小学生に「ゲーム」と称して暴行を加え、その様子を動画撮影してインターネット上にアップしたいじめ動画事件が発覚。市教委は記者会見を開き、いじめと認定したと発表。
  • 奈良県桜井市立中学校の女子生徒が、同級生から集団暴行などのいじめを約1年にわたって継続的に受け、ケガを負って警察が捜査していることが発覚。
  • 大阪府寝屋川市立中学校の男子生徒が同級生らから集団暴行を受け大けが。警察は加害生徒5人を逮捕・補導。
  • 神奈川県相模原市緑区の中学生が通りすがりの小学生に因縁をつけて泣かせ、別の生徒がその様子を動画撮影してインターネットにアップしたいじめ動画事件(2012年5月)で、関与した加害生徒1人を書類送検・1人を家裁送致。
  • 大阪府泉佐野市に住む定時制高校生(当時18歳)が2011年に自殺した事件で、死亡した生徒が同級生から金銭の恐喝やひったくりの強要などをされていた疑いが高まり、警察が再捜査を決めた。自殺直後に警察が捜査したものの、証拠不十分として捜査を打ち切っていた。

 大人の側の対応がどうだったのか再検証されるべきものも目立つ。
 大津のいじめ自殺事件では、次から次へと斜め上の対応が明らかになっている。隠蔽と自己正当化のためにここまでやるかというような、ネットスラングで言う「燃料投下」状態の対応である。
 他の事件でも、埼玉県の事件では、小学生時代からいじめを受けていたとして保護者が「加害者と同じクラスにしないでほしい」などと対処を求めたものの、連絡ミスなどで引き継がれずに同じクラスになりいじめが再燃したという。奈良県の事件では、集団暴行の現場を通りかかった教員が、暴行に気づかずに立ち去っていた。大阪府の事件ではいじめが近隣住民に見つかって警察に通報され、駆けつけた警察官に対して被害生徒が加害者の名前を話したことをを加害者が逆恨みして、さらに激しい暴行へとつながっている。
 いじめを放置したり、場合によっては加害者の加害行為に加担したりすることは、被害者にとってはもちろん苦痛極まりないものである。さらに、いじめが悪事だということを理解する機会を失い、何をしても許されると間違った学習をした加害者によって、いじめが激化したり、新たな被害者を生み出すことにもつながりかねない。こういう状況は、社会にとって大きな損失である。