現行教育委員会制度に疑問を呈する日経社説

 日経新聞2012年7月22日付に『いじめ隠蔽する教育委員会なら要らない』とする社説が掲載されている。

 滋賀県大津市立中学校のいじめ自殺事件をめぐり、教育委員会が隠蔽を繰り返していたことへの批判から始まり、その根底には教育委員会制度が形骸化しているとして、教育委員会制度そのものを見直すべきで「本当に必要なのは制度の抜本改革」だと訴えている。
 確かに、大津のいじめ自殺事件での行政側の対応は、《現行の》教育委員会制度の問題点が極端な形で集中した事例だともいえる。教育の独立・中立が悪い形で曲解され、隠蔽と責任逃れに走っている。
 一方で、教育委員会制度そのものが実効化する方向での見直しは必要だとしても、教育委員会制度を否定し行政部局直轄にする方向での見直しは、別の意味で問題が生じる。
 大津のいじめ問題の場合は、市長が社会通念上市民感覚での対応をしているが、教育委員会が無理筋の屁理屈で隠蔽に走り、市長部局が手を付けにくい状態になっている。
 一方で大阪では、教育に関してまともな知見すら持ち合わせていないのは明白と言わざるをえない首長やそのお仲間の政治集団が、日の丸・君が代強制、学力テストの学校別結果公表、学校統廃合、エリート校を志向した小中一貫校づくり、学校選択制、高校入試内申書制度変更など、他地域で失敗が明らかになった施策や自分の都合で歪めた施策を強権的に持ち込もうとしている。現行の教育委員会制度のもとですら平気で原理原則を無視して、素人以下の教育論(にも値しない居酒屋談義)をぶちかまして学校教育を破壊しようとする首長が現にいるもと、教育委員会制度そのものを否定すると、こういうおかしな首長が出てきた時に、教育的知見の立場から暴走を止める仕組みがなくなることになり、具合が悪い。
 教育委員会制度の見直しは必要である。ただ見直しの方向は、制度そのものの廃止ではなく、教育委員が「名誉職」化している現状を改め、委員が事務局方針の追認にとどまらずに実効性ある施策を打ち出せるような方向での転換が必要ではないだろうか。

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