「加害者の人権」悪用し調査せず

 滋賀県大津市立皇子山中学校のいじめ自殺事件で、死亡した生徒が自殺の練習をさせられていたという証言について、学校・市教委は名指しされた加害者生徒に事実関係を確認せずに調査を打ち切っていたことが判明した。

 市教委は「いじめた側にも人権がある」として、「調査すればいじめを疑っていると受け止められる」と判断したと釈明した。

 しかしこれは人権概念の著しい誤解・曲解だといえる。いくら凶悪犯罪者でも拷問や虐待に類する行為はいけない、必要以上の制裁は加えてはいけない、という意味では、人権はあるだろう。

 しかしここでは、そういう意味ではない。事件そのものを揉み消す、そのためには被害者の受けた苦痛など関係ないと宣言しているに等しい。

 事実関係を明らかにすることは、被害者の人権回復の一歩ともなる。また同種の事件の再発を防止する抑制力ともなる。