学校選択制「反対」が多数:大阪市

 大阪市では各行政区ごとに学校選択制の是非を問う学校教育フォーラムが開催された。

 どこの区でも、会場での質疑応答では学校選択制反対の声が多数を占めていた。会場では全参加者を対象に自由記述式のアンケートを実施し、区によっては結果を集計して公表している。

 結果を公表した区について、『「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪 全国実行委員会』様のブログ『学校選択制を考える(10)ーー学校選択制を巡る大阪市教育フォーラムの結果』が、各区ごとの学校選択制賛成・反対の状況を一覧にまとめている。

 自由記述式なので賛否がはっきりしなかったり、質問のみだった回答もあり、賛成・反対の回答の合計は100%にはならないということ。どの区でも、賛成は15%~20%程度にとどまり、反対は半数~4分の3を示している。

 学校選択制はこの10年ほどで各地に導入の動きが進んだが、その一方で一度導入した自治体でも見直しや撤回を実施するところも増えている。長崎市や前橋市・新宿区などに加えて、大阪市特別顧問となった山田宏氏が区長をつとめていた杉並区でも見直しが決まっている。

 一方で大阪市では、各地で見直しが進められている代物を今からあえて導入しようとしている。しかし住民からの評判は全く良くないことが、市が実施したフォーラムやアンケートですら浮かび上がってくる。

 大阪市では、学校の位置が校区の端に位置して、地域によっては隣の校区の学校のほうが近かったり、またある学校の近所に住んでいてもその学校には通学できず別の学校が通学先に指定されるなどの事例もある。そういう事例を上げて学校選択制に賛成する意見もある。しかしこれは現行制度での柔軟運用でも十分対応可能である。

 学校選択制に反対する意見としては、地域コミュニティの問題、通学時や災害時の安全確保の問題、人気校と不人気校が出ることでの学校間格差の問題などが挙げられている。

 大阪市をはじめとした大阪府内では受験競争の激化に同和問題も絡み、有名校への進学が有利とされた一部の人気校に入学させるため、また同和地区の学校を避けるために越境入学させる事例が相次いで問題化したことから、1960年代後半以降教育委員会が越境入学根絶の取り組みを強力に進めている経緯がある。その歴史を指摘して、同和問題再燃につながるのではないかと指摘する意見もみられた。

 大阪市での学校選択制は統一の学力テスト結果公表と一体であり、従来の同和問題は解決されつつあるとはいえども、旧同和地区かどうかにかかわらず学校間格差の形で新たな地域格差・地域差別的な問題が起きる懸念はあるだろう。

 学校選択制は、各地で不具合が発覚して撤回や見直しが相次いでいるという全国的な実情に加え、大阪特有の地域事情も加味すると余計になじまないのではないだろうか。