学校選択制「反対」が大半:大阪市住吉区の事例から

 大阪市24行政区各区ごとに実施されている、学校選択制と中学校給食についての学校教育フォーラム。

 各会場ごとに参加者の口頭発言に加えて、参加者が文書で意見を提出する用紙も配布されている。
 住吉区の会場(2012年4月22日開催)で参加者から寄せられた意見が、区のウェブサイトで公開されている。

 学校選択制については回答者133人中賛成は17人にとどまり、反対が74人、「賛否を明らかにしないその他の意見」と「質問のみ」の回答が合わせて42人となった。

 賛成意見は「いじめ・引きこもり・学級崩壊などをなくすために自由選択制にしたらよい」「今の制度が完璧であるとは思えないので、選択制を導入して、その後に課題を解決し、よりよいものに変えていけば良い」「学校全体のレベルアップにつながる」などとなっている。具体的な理由を示さずに「賛成」とする意見も目立つ。賛成はどちらかと言えばイメージ先行ではないかという印象を受ける。

 しかしこれらは、学校選択制推進の論拠とはなり得ないものである。いじめなどについては、現行でも指定校制度変更の柔軟適用で転校が可能となっている。今の制度が完璧でないから学校選択制では完璧になるのかと言えば、そうではなく従来以上に悪化することは他地域の例でも示されている。学校全体のレベルアップにつながるどころか格差を生み出すことも、他地域の例で示されている。

 一方で反対意見は具体的なものが多い。地域との結びつきが弱まることを指摘する意見、登下校や緊急時の安全問題を指摘する意見、学校間格差が生まれると指摘する意見、大阪市ではかつて「エリート校」を目指したり同和校を忌避する越境通学が常態化していたことで根絶の取り組みを強力にすすめてきたことを指摘する意見、障がい児の就学との関わりを指摘する意見などが出されている。

 その他の意見としては、「住吉区では校区が複雑に設定されているが、学校選択制をいうなら校区の改善が先ではないか」「学校選択制より35人学級を」などの意見もあった。

 学校選択制を無条件にすすめるのは、いろいろな意味で望ましくないことは、ここ10年間の各地の取り組みで明らかになっている。しかしいわば「時代遅れ」の学校選択制をわざわざ導入しようとする大阪市および橋下大阪市長と大阪維新の会の姿勢は、学校教育と地域コミュニティを破壊するものであろう。

 もちろん隣の校区の学校の方が近いとか通学に安全などの場合もある。しかしその場合は、現行の指定校変更制度を柔軟に活用できるようにして、校区に調整区域を設定するなどの対応でも十分可能であり、学校選択制導入の理由にはなり得ない。