いじめ自殺と文科省統計の乖離

 相次ぐいじめ自殺問題では、学校側や教育委員会だけでなく、文部科学省のあり方も問われることになりそうです。
 文部科学省の調査によると、1999年以来いじめ自殺は「0件」が続いているということです。しかし、いじめ自殺は毎年のように報じられているのにおかしな話です。


 文部科学省統計が「0」となっている間、報道された事件だけみても、少なくとも以下のようないじめ自殺事件がありました。

  • 大阪府堺市立商業高校(1999年10月) 1年生・女子
  • 栃木県鹿沼市立北犬飼中学校(1999年11月) 3年生・男子
  • 千葉県市原市立有秋中学校(2000年10月) 3年生・女子
  • 愛知県名古屋市・私立金城学院高校(2001年6月) 2年生・女子
  • 岩手県一戸町立中学校(2003年3月) 2年生・女子
  • 愛知県名古屋市立北陵中学校(2003年5月) 3年生・女子
  • 山口県下関市立川中中学校(2005年4月) 3年生・女子
  • 北海道滝川市立江部乙小学校(2005年9月) 6年生・女子
  • 長野県立丸子実業高校(2005年12月) 2年生・男子

 上記のものに加えて、当方の調査漏れの事件や、報道されていない事件もあるかもしれません。
 また2006年度に発生したいじめ自殺事件としては、現在大きく報道されている福岡県筑前町立三輪中学校事件のほかに、愛媛県今治市立中学校の事件(2006年8月)があります。
 毎年のようにいじめ自殺事件が起こっているのに、文部科学省の統計の上では0となっているからくりについては、「実績主義・数値主義の学校運営」が背景にあるとも指摘されています。
 いじめを0にしていくことは大いに結構なことで、決して否定できないことです。その一方で、過剰な数値目標を追うことで数字そのものが重要となり、たとえいじめがあっても統計数値に反映させないというゆがんだ方向に進む傾向があるということです。その結果、目の前のいじめをもみ消すという間違った方向にも進みかねません。
 本来なら、いじめを起こさないような学校をつくること・たとえいじめが起こったら早期解決をすることを通じて、結果的に「いじめ0・いじめ自殺0」の数値を達成すべきものです。数値目標実現が先にあるというのは、本末転倒ではないかと思います。
〔参考資料〕