「職員会議挙手採決禁止」容認する不当判決

 職員会議で教職員の挙手採決禁止などと通知した東京都教育委員会の通知に異議を唱えたことなどで、定年退職後の嘱託教員採用に不採用になったとして、都立三鷹高校の土肥信雄元校長(63)が都教委などを訴えていた訴訟で、東京地裁は1月30日、土肥元校長の請求を棄却する不当判決を出した。

 土肥元校長は控訴する意向だという。
 裁判所側は都教委の主張を認め、職員会議での挙手採決禁止も容認し、また土肥氏が異議を唱えたことで都教委が「組織の一員としての立場をわきまえず、他者からの説明を理解しようともしないばかりか、組織への協力・協調の姿勢も見られない」など人格攻撃とも取れる否定的な評価を下したことも許容されるとした。
 東京都では嘱託教員採用は、暴力行為(「体罰」)などよほどの前歴がない限り、原則として希望者は全員採用されるという。
 さて、挙手採決禁止が、校長としての資質に反するものなのか、いくら考えても分からない。校長が一方的に決定事項を押しつけるより、生徒の実情をより把握していたり、校長の気づかないところに気づいているかも知れない教職員の意見を聴いた方が、学校経営にはよい効果がもたらされるであろう。また挙手採決をおこなったところで、最終的には校長が意見をとりまとめて決断するとも考えられる。都教委の挙手採決禁止は全く理解できないし、それを追認する裁判所も理解できない。
 土肥氏は大学卒業後商社に勤務していたが、独占禁止法違反である談合(いわゆる闇カルテル)に直面したことをきっかけに、政治・経済の教員に転身した。そのこともあり授業でも民主主義の理論と実践を大切にしていたという。
 また校長在任時代には、1000人近い全校生徒の顔と名前を覚えて声かけをおこなっていたという。全校生徒100人程度までの小規模校ならともかく、かなりの規模のある高校ではなかなかこのようなことはできない。校長を定年退職するときには、同時に卒業した卒業生全員から「卒業証書」や寄せ書きが贈られたという。
 子どもと教育・民主主義を大切にし、生徒から信頼されていた教師像が浮かび上がる。このような人に逆に問題教師のようなレッテルを貼り付け、裁判所も追認するなど、あってはならないことである。