奈良中学校柔道部事件、教諭の責任認め賠償命じる

 横浜市立奈良中学校で2004年、柔道部顧問だった教諭が柔道部員の生徒(現在22歳)に「指導」と称した投げ技を繰り返し加えて急性硬膜下血腫などの重傷を負わせ、高次脳機能障害などの後遺症を負わせたとして、被害者側が神奈川県・横浜市および教諭個人を相手取り計約1億8600万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は12月27日、教諭の行為とけがとの因果関係を認め神奈川県・横浜市計8900万円の損害賠償を命じる判決を出しました。

 教諭個人に対しては、国家賠償法の規定により、公務員の不法行為は県・市が賠償責任を負うとして請求を棄却しています。
 事件は2004年12月24日に起こりました。柔道部顧問だった教諭は、当時3年生の男子生徒に対して、練習として投げ技を繰り返し加えました。生徒はその直後に倒れました。一命は取り留めたものの、高次脳機能障害の後遺症が残り、記憶障害などの症状が出ました。
 刑事事件としては、教諭は傷害罪と業務上過失傷害罪に問われ一度は不起訴になりましたが、2009年には業務上過失傷害罪を適用すべきとして不起訴不当の議決が出ました。しかし2009年12月中旬に再び不起訴処分となり、そのまま時効(5年)を迎えて教諭の不起訴処分が確定しました。
 判決では被害生徒のけがについて、教諭の投げ技で頭部に急激な回転力が加わり血管が損傷したと判断しました。また教諭は、生徒のけがについて予見することはでき、安全配慮義務を怠ったとも判断しました。
 その一方で、教諭の行為が暴行であるとする原告側の主張は、はっきりとは認められなかったようです。この事件では、事件直前に被害生徒が柔道推薦での高校進学を断ったことで教諭が逆恨みしたかのような態度を取っていたことや、「サマーバケーション」と称して日常的に暴行・しごきまがいの練習がおこなわれていたことなど、「指導」と称してリンチを加えた疑いも指摘されていました。
 暴行認定については不十分な面もありますが、刑事事件としては不十分な形でしか認められなかった教諭の不法行為が民事裁判で明確に認められたことについては、歓迎すべき判決でしょう。
 県や市は控訴しないことを願います。また今後このような事故が起こらないよう、徹底的な対策を取ることを願います。