暴力加えても「行きすぎた指導」認定(2)

 奈良市立小学校の「体罰」事件を「行きすぎた指導」と市教委が認定した事案。折しも隣の大阪府では、教育基本条例案が問題となってます。この事件は、教育基本条例案成立後を先取りしたような事例です。

 教育基本条例案では、「体罰」についてかなり危険なことを書いています。

第四十七条 校長、副校長及び教員は、教育上必要があるときは、必要最小限の有形力を行使して、児童生徒に学校教育法第十一条に定める懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。

 学校教育法の条文にはない「必要最小限の有形力」という文言を紛れ込ませています。
 これは、「暴力を加えようが虐待を加えようが、加害者が『有形力の行使で正当な指導』といえば『体罰』でも暴力でも虐待でもない」と居直ることを、条例をたてに無制限に正当化できるしくみです。
 しかも教育基本条例案では「保護者が不当な態様で要求」することを禁止という条文もあります。学校にとって不都合な抗議や要求を「不当」呼ばわりして封じ込める対応も可能です。
 奈良市の事件は、まさに「俺様が「体罰」じゃないと認定したから「体罰」じゃない。それに納得せずにいつまでもねちねちぐちぐちと抗議する保護者はモンスターペアレント」という対応そのものです。
 現在ではこういう陥れ方は学校や教育委員会の「裁量」ですが、教育基本条例案が通ってしまえばこういう対応が条例で正当化されることになってしまいます。
 教育基本条例案ではこういう事例が増えて、苦しめられる児童・生徒と保護者を増やすだけです。一部には「問題教師の排除のために教育基本条例案が必要」とする主張もありますが、実際は「問題教師」を増長させてやりたい放題にさせ、子どものみならず保護者や良心的な教員までも苦しめ、教育の崩壊を招くだけではないでしょうか。