「君が代」訴訟:最高裁で口頭弁論

 「君が代」斉唱の職務命令に繰り返し従わなかったとして停職処分になった東京都の元教員(現在は定年退職)らが、東京都を相手取り処分取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第一小法廷は11月28日、口頭弁論を開きました。

 一審・二審とも教員側敗訴の判決が出ています。最高裁で口頭弁論が開かれるときには、原審判決が見直される場合であることが通例であることから、判決が見直される可能性が出てきました。判決は2012年1月16日の予定です。
 従前の類似訴訟では、職務命令は合憲と判断して戒告・減給処分について最高裁で取り消しを認めない判決が出ていました。前例を考慮すると、今回の口頭弁論では「停職は重すぎる」という判断になる可能性があるとみられます。
 「君が代斉唱での処分そのものが不当」という立場からの判断が求められます。
 その一方で、仮に「停職は重すぎる」という判決だとしても、判断は不十分だとはいえども東京都のみならず各地の教育行政に影響を与えます。
 例えば大阪府では、橋下徹前大阪府知事(次期大阪市長)率いる「大阪維新の会」が、2011年4月の統一地方選挙では一切触れていなかったにもかかわらず、選挙後の2011年6月になって突如、君が代起立・斉唱を義務づける条例を大阪府議会で強行可決しました。また「大阪維新の会」は、教員への統制を強める内容の「教育基本条例案」を大阪府議会および大阪市・堺市の両市議会での成立をねらっています。
 教育基本条例案では、職務命令に2回違反すれば停職・同じ命令に3回違反すれば免職などの規定もあります。これが可決されてしまえば、君が代問題については、君が代斉唱を職務命令として出し、違反すれば停職にするということも可能になります。
 君が代訴訟自体は大阪府などの教育基本条例とは直接関係ありません。しかし判決が見直されることで「停職が不当」と判断されれば、「君が代」起立斉唱押しつけなども含めた職務命令に違反すれば停職や免職とすることを明記した教育基本条例も、判例に照らして不当であると指摘されることになります。
(参考)
◎君が代起立斉唱巡る上告審、弁論開き結審(読売新聞web 2011/11/28)
◎一、二審の請求棄却、見直しか 君が代訴訟上告審弁論(朝日新聞web 2011/11/28)