ボールをぶつける「体罰」で脳内出血発症させる

 兵庫県尼崎市立中学校でバレーボール部顧問を務めていた男性教諭(41)が2006年3月、「練習」と称して約50センチの至近距離から生徒の顔面めがけてバレーボールを数十回ぶつけ、脳内出血で8週間入院させる事態になったとして、兵庫県教育委員会は10月13日にこの教諭を停職1ヶ月の懲戒処分にしたということです。

バレー部顧問、至近から顔にボール 生徒は脳内出血 尼崎の中学校

〔『神戸新聞』2006/10/14〕

 尼崎市立中学校のバレーボール部顧問の男性教諭(41)が、部員の男子生徒一人の顔面に、約五十センチの距離からボールを断続的に計二十-三十回投げつける体罰をしたとして、兵庫県教委は十三日、教諭を停職一カ月の懲戒処分とした。生徒は脳内出血と診断され、八週間入院したという。

 県教委によると、教諭は三月六日午後七時から同九時半の部活指導中、「恐怖心に打ち勝ち、ボールから目をそらさないようにする練習」として、生徒にバレーボールを投げつけた。練習終了後、生徒がぐったりしていたため、保護者に連絡し、病院に搬送した。生徒側は警察に被害届を出していないという。

 教諭は指導歴十年以上のベテランで、「集中力を欠いてミスした生徒を対象に以前からしている練習」と県教委に説明したが、「指導法としては間違っていた」と反省。直後から部活指導を外れている。

 県教委教職員課は「体罰は決して許されないこと。今後こういったことが起きないようさらに指導する」としている。

 体罰による懲戒処分は本年度七件目。これまでは減給、戒告で、今回の処分が最も重い。

 生徒に後遺症が残らなかったのは不幸中の幸いですが、教諭の行為はきわめて悪質だといわざるを得ません。停職1ヶ月どころか、懲戒免職でもおかしくないような行為です。

 「恐怖心に打ち勝ち、ボールから目をそらさないようにする練習」などといっても、至近距離から強いボールをぶつけるのは危険きわまりないことです。また「集中力を欠いてミスした生徒を対象に以前からしている練習」と弁明したということですが、懲罰的な意味合いが含まれていたと断じざるを得ないでしょう。

8年前にも兵庫県内で類似事件:兵庫県教委の責任も厳しく問われる

 また同時に、この問題は教諭個人の問題だけではなく、兵庫県教委の責任も厳しく問われます。この「体罰」に関する事実関係を読んで、過去のある事件を思い出しました。

 1998年8月26日、兵庫県高砂市立竜山中学校のバレーボール部の顧問教諭が、今回と同様に生徒に対してボールを至近距離から執拗に顔にぶつけ、生徒を重体に陥らせたという事件がありました。1998年の事件では、被害生徒は重度の後遺症が残り、今でも全面的な介護が必要な状態だということです。

 今回の尼崎市立中学校の事件も8年前の高砂市の事件と酷似していて、しかも同じ兵庫県の公立中学校で発生した事件です。ということは、兵庫県教育委員会は8年前の事件の教訓を生かせず、再び同じような事件を発生させてしまったことになります。

 兵庫県教委はこの問題を「教諭個人の問題」とせず、学校教育全体にかかわる問題と位置づけ、二度とこのような事件が起こらないような手だてをとるべきです。