「君が代」不起立には実名公表でつるし上げも:大阪府知事

 大阪府での入学式・卒業式の「君が代」問題が、一気に悪い方向に進んでいます。

 橋下徹大阪府知事は5月18日、「職務命令は民意に基づくもの。保護者は何回も違反する教員を知りたいはずで、府民の批判を受けるべきだ」などとして、不起立教員については実名を公表するなどの策も検討していることも明らかにしました。
 また大阪府教育委員会は5月19日、「君が代」起立・斉唱の職務命令を府立学校全教員に向けで出すことを決めたということです。従来は校長の指導に従わない教員個人に対する職務命令だったということです。
 しかし職務命令は民意に基づくものではなく、一部勢力の見解に基づくものでしかありません。民意というのならば、国旗・国歌法の政府見解でも「強制はふさわしくない」とする見解が出されていることや、学習指導要領でも学校行事は学校の自主性に基づいて運営されるべき旨が示されていることから、「強制は望ましくない」ということこそが民意であることは明らかです。
 また「君が代」への対応は、問題の性質上思想信条や内心の自由に基づくものであり、また不起立によって他者の人権を侵害するような性質のものではありません。
 仮に「式を実力で妨害した」などの話があれば別でしょうが、そういう話は一切聞いたことがありません。不起立程度で進行の妨げになるはずもありません。社会的にも意見が大きく分かれているものである以上、君が代そのものへの考えはどうあれ、常識的な人ならば「自分で判断して、起立したい人や歌いたい人はそうすればいいし、したくない人は拒否すればいい。他者への起立・不起立の強制や式への妨害行為などをしない限りかまわない」で済むことではないでしょうか。
 実際、「君が代そのものには個人的に賛成・もしくは中立だが、一方的な強制はだめ」という観点から、「君が代」強制に反対する意見も出ているといいます。
 また「保護者は何回も違反する教員を知りたい」といっても、「君が代」での「違反」など元々教育委員会が一方的に作り出した虚構のものでしかありません。「君が代」に関連する違反行為があるとすれば、憲法などを無視して一方的に強制しようとしている教育委員会の行為こそが違反行為にほかならないでしょう。
 「何回も違反する教員」といえば、教育委員会は、児童・生徒への暴行(いわゆる「体罰」)やわいせつ行為などの人権侵害行為・犯罪行為について実名公表もしないどころか、繰り返し問題を起こしている常習犯である場合が多い加害者を組織ぐるみで擁護・隠蔽してきた現状があります。その一方で、「君が代」問題を犯罪行為よりたちが悪いかのように描き、実名公表も含めてつるし上げることを図ろうとするのは、方向性がずれています。
(参考)
◎君が代不起立教員は「府民の批判を」…橋下知事(読売新聞 2011/5/19)
◎府教委、君が代起立で職務命令へ 大阪「全教員に」(共同通信 2011/5/19)
◎全教職員に職務命令=君が代斉唱時の起立-大阪府教委(時事通信 2011/5/19)