修学旅行中の水難事故訴訟、学校側の過失認める判決

 横浜市立鶴見工業高校(現在は閉校)の生徒が2006年、修学旅行先の沖縄県波照間島の海で沖に流されて2人が死亡した水難事故がありました。遺族が横浜市を相手取り約9500万円を求めた損害賠償訴訟で、横浜地裁は5月13日、引率教諭の過失責任を認め計約1600万円の支払いを命じる判決を出しました。

 事故は2006年5月17日に発生しました。土木科3年生1クラスの生徒32人と引率教諭2人(学級担任・学科主任)・添乗員1人の計35人の一行が波照間島を訪れていました。砂浜で水遊びをしていた生徒3人が遊泳禁止区域の海に入り込んで波にさらわれ、1人が死亡・1人が行方不明(のち死亡認定)・1人がけがを負ったものでした。
 事故当時は晴天でしたが、台風が接近していた影響で波にうねりがあり波浪注意報が出されていました。
 事故現場は引き潮や高波などでリーフ(環礁)の内から外へ海水が強く流れ出る「リーフカレント」が指摘され、遊泳禁止場所だったということです。一方で引率教諭らはリーフカレントの存在や遊泳禁止場所だったことを知らず、また事故当時砂浜にいたのは教諭1人だけだったといいます。
 横浜市は「旅行会社から情報提供がなかった」などとして事故の予見可能性を否定しました。一方で判決では「周知済みの危険についてのみ調査するのでは足りない」と指摘し、教諭らが事故現場の砂浜を下見していなかったことや、現地の役場や海上保安部へ砂浜について問い合わせなかったことなどを重大な過失と判断しました。
 一方で生徒が自ら沖に進んでいったことで過失相殺を認め、賠償額を減額しました。
 遺族側の主張が大筋で認められたとみてよいでしょう。横浜市にとっては厳しい判決とはいえるでしょうが、市は控訴せずに被害者救済策を図り、また今後このような事故を防ぐための教訓としていくべきでしょう。
(参考)
◎鶴見工業高生2人死亡の水難事故判決、横浜市に1600万円賠償命令/横浜地裁(神奈川新聞 2011/5/14)