懲戒免職者の氏名公表、しかしわいせつ教師は除く:宮崎

 宮崎県教育委員会は5月12日、懲戒免職処分を受けた教員についての氏名公表規定を改正しました。

 従来も「社会的に重大な刑事事件について懲戒免職を行った場合は、氏名及び所属名を原則として公表する」という規定を設けていました。しかし「氏名等を公表することにより、関係者等に深刻な事態が想定される場合」とする例外規定もあり、教育委員会の裁量で「社会的に重大な刑事事件にあたらない」「氏名公表で処分者が自殺する恐れがある」などとすればいくらでも匿名発表が可能なものでした。
 改正方針では「社会的に重大な刑事事件」とする基準や例外規定を削除し、原則公表の方針に転換しました。しかし「九州地方他県ではわいせつでの免職者は匿名になっている。他県の例にならいバランスを図る」として児童・生徒へのわいせつで懲戒免職になった教員については匿名公表を可能にしたということです。
 原則公表という方針自体は一歩前進かもしれません。しかし、本来は率先して原則公表すべきわいせつ事案について匿名公表とするというのはいただけません。これは結局、従来の規定からほとんど抜け出していないことになります。
 わいせつ性犯罪教師の匿名公表は、被害者の児童・生徒やその保護者への配慮にはなりません。逆に加害者を保護するだけの効果しかもたらさないものです。
 加害者の実名公表で被害者が特定されるなど、何の根拠もありません。加害者に近い人物以外の第三者には、被害者の特定はまず不可能です。また匿名公表でも、加害者に近い人物が被害者を特定して中傷しているケースも多々あります。「公表を実名にするか匿名にするか」と「被害者への二次被害」とは何の相関関係もありません。
 加害者の匿名公表では、加害者の犯罪行為・不法行為が社会的に隠蔽され、加害者は過去を隠してボランティアやスポーツ指導者など子どもと接する立場につき、新たな被害者を生み出す危険性もあります。実際、過去に児童・生徒へのわいせつ性犯罪事件を起こした問題教師が、実名公表されなかったことをいいことに過去を隠して新たな場所に紛れ込み、新たな犯罪に及んだという事例は何度も発覚しています。
 「他県が匿名公表しているから自分の県でも匿名公表」とする主張に至っては、理由にもなっていません。人権を曲解し、加害者ばかりを守って被害者の人権をないがしろにするような時代遅れの屁理屈にあわせる必要はありません。
(参考)
◎懲戒免職教員、氏名を公表へ…宮崎県教委、規定を改正(読売新聞 2011/5/13)