中学校教科書「集団自決」に「軍の強制」明記求める声明

 2007年の高校日本史教科書で沖縄戦の集団自決に関する記述が後退させられた問題で、検定意見撤回を求める「9・29県民大会決議を実現させる会」は4月5日、3月30日に発表された中学校教科書検定に関して、集団自決(強制集団死)について日本軍の強制を明記を求める声明を出しました。

 2007年の高校日本史教科書検定では、日本軍の強制を示した記述に対して文部科学省側から検定意見がつき、曖昧な記述へと後退させられました。検定意見の背景には「つくる会」関係者の存在や大江健三郎氏の「沖縄ノート」(岩波書店)に対する訴訟など、いわゆる右派の政治的な動向があるとみられています。
 歴史学者・教育学者や住民から検定に対する批判の声があがり、当時大きな社会問題となりました。史実と世論の高まりを背景に、文部科学省は記述改善を部分的には認めたものの、検定意見そのものは撤回しませんでした。
 今回の中学校教科書検定では、多くの場合2007年の高校日本史教科書検定での改善後の記述とほぼ同じ水準の記述となっているとみられます。全社で集団自決の史実に触れ、また一部の教科書では日本軍の関与を示す記述をおこないました。しかし「日本軍の強制」と明記するまでには至りませんでした。
 「新しい歴史教科書をつくる会」関係者が関与した自由社版、「つくる会」の主導権争いによる内紛で分裂した亜流団体関係者が関与した育鵬社版の2社に至っては、集団自決の記述はあるものの、史実をゆがめて「集団自決は米軍に責任がある」かのような記述をおこなっています。自由社・育鵬社の2社については問題外でしょう。このような教科書が検定を通過したこと自体がおかしなことです。
 声明は、沖縄戦に詳しい研究者を検定官や審議会委員に入れ「沖縄条項」を制定すること、教科書会社・執筆者への記述改善の呼びかけ、自由社・育鵬社への抗議などから成り立っているということです。
 声明の方向性には基本的に同意です。中学校教科書についても、より史実に即した記述への前進をすすめていくべきでしょう。
(参考)
軍強制明記求める 教科書検定「実現させる会」声明(琉球新報 2011/4/6)