神戸市立御影中学校熱中症死亡事件:顧問ら書類送検方針

 兵庫県神戸市立御影中学校(神戸市東灘区)の柔道部員だった男子生徒(当時1年生)が2005年8月、柔道部の合宿先の兵庫県・淡路島で熱中症で死亡した事件がありました。
 この事件に関して兵庫県警は、指導に当たっていた顧問臨時講師(30)と副顧問臨時講師(26)を、「生徒の健康を管理する指導者としての義務を怠った」として、業務上過失致死容疑で書類送検する方針を固めました。

 死亡した生徒は2005年8月2日午後、練習中に強い体調不良を訴えました。しかし顧問らは練習を続けさせ、さらに生徒の体調を悪化させました。同日夜には宿舎で、顧問らは生徒に対して「気合いが入っていない」などとして長時間正座させた上平手打ちなどしたということです。生徒は同日深夜に倒れ、翌8月3日未明に死亡しました。
 この事件は発生直後にも大きく報道されましたが、改めて事件に関する事実関係を調べると、あまりのひどさに愕然とします。
 体調不良の訴えを放置した上、「体罰」まで加えた顧問らの行為は、厳しく責任が問われるべきものです。
 生徒の体調不良の訴えに対して適切に対応していれば、少なくとも生徒が命を落とすことは避けられたと考えられます。しかし生徒の訴えを放置した上練習を強要し、挙げ句の果てには体調不良のために練習に力が入らないことに対して「体罰」まで加えたうえに、体温が高くなっていることを認識しながらも「規則だから」として入浴させた…これでは、顧問らの行為が生徒の命を奪ったと言っても過言ではないでしょう。
 同時にこの事件については、「学校部活動の問題点のひとつが最悪の形で現れた」という視点からも考えるべきです。部活動指導者には、他人事ではなく自分のこととして指導方法の再点検が求められます。
 学校部活動では、熱中症死亡事故をはじめ、本来ならば避けられたはずの事件・事故が続発しています。そんな事件・事故が続発する背景には、スポーツ科学などの知見を無視し、根性論ですべてを解決しようとする非科学的な指導方法が横行していることがあるといえます。今回の事件でも、熱中症を放置した理由について顧問講師は「(被害生徒を)強くしようと思った」と供述しているといいます。
 根性論が横行することによって、熱中症の放置だけでなく、「体罰」やしごきなどの非人間的な行為が、学校種別や競技種目を問わず、多くの部活動で横行しています。そのために、「指導者や上級生からの暴力・しごき・いじめなどが原因の病気・けが」をする例もあります。また、スポーツをやめざるを得なくなるなどの事例もあります。
 そういった根本の問題からメスを入れていかなければ、同様の事件が発生する危険性が極めて高いといわざるを得ません。
 このような事件を再発させてはいけません。そのためには、学校部活動の指導のあり方を、生徒の人権を尊重した指導・科学的知見に基づいた指導へと大きく転換させなければなりません。

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