恩寵園児童虐待、園長個人の賠償責任認めず:最高裁

 千葉県の児童養護施設「恩寵園」で1995年に発覚した虐待事件で、元園生らが当時の園長らを相手取って訴えていた訴訟で、最高裁は11月5日付で元園生側の上告を棄却しました。元園生7人に慰謝料計430万円の支払いを千葉県に命じた二審・東京高裁判決(2009年2月26日)が確定しました。


 「恩寵園の子どもたちを支える会」のサイトに虐待のあらましが掲載されています。

「恩寵園の子どもたちを支える会」サイトより引用
…児童養護施設「恩寵園」では、長い間児童虐待が行われていました。大濱浩園長は、「体罰は、創立以来の伝統」と公言するなど、児童福祉を食い物にしてきました。子どもたちの証言によれば、「ビンタ、ケリは当たり前」と日常的に暴力にさらされていました。さらに、「子どもを乾燥機に入れ回した」「子どもを裸にして池に浸けた」「子どもが手に持っているティッシュに火をつけた」「死んだ鶏をベッドに入れ、一緒に寝かせた」「子どものペニスにハサミをあて、血を流した」「24時間正座させ、トイレに行かせなかった」「子どもに首輪をつけ、鎖につなぎ、床においたどんぶりからご飯を食べさせた」「熱いお風呂に、子どもを無理矢理浸からせた」「園児全員が見ている前で、子どもの足首に包丁をあて、血を流させた」「高校生の女子の園児を、下着だけの姿で立たせた」「子どもを麻袋に入れ吊した」など、数々の虐待を行ってきました。

 虐待そのものもきわめて悪質なものです。1995年に事件が明るみに出ましたが、千葉県も加害者の元園長をかばうような態度をとり続けていました。
 入所者は支援者らとともに改善運動をおこなった結果、事件は国会やマスコミでも取り上げられ、また元園長は2000年になって逮捕・起訴され有罪判決が確定しました。
 民事訴訟では一審・二審とも、原告11人のうち4人については「時効」として棄却されたものの、残る7人に対しての虐待が認定されました。一方で元園長については「県から公的権限を委譲された公務員にあたる」と判断して個人の賠償責任は認めず、千葉県に賠償を命じる判決となりました。
 記事でははっきりとは書かれていませんが、元園長個人への賠償責任を求めて上告したと思われます。
 公務員と同等にみなされる立場を悪用して個人の責任を逃れたことについては、納得のいくものではないでしょう。一方で悪質な虐待そのものは認定されています。千葉県は元園長に対して求償をおこなうべき事案だと考えられます。
 一方でこの問題では、千葉県の対応にも重大な問題があります。虐待を把握しても実効性ある対策をとらないどころか加害者を擁護し、結果的に数年にわたって虐待を放置した形になっています。事件発覚当時にきちんとした対応をとっていれば被害者がここまで苦しむこともありませんでした。