福岡「体罰死」事件から15年

 福岡県飯塚市の近畿大学附属女子高校(現・近畿大学附属福岡高校)で1995年7月、教師の暴力により生徒が死亡した事件が発生しました。その事件から15年になります。

 この事件は、商業科担当の教諭が女子生徒に対し「スカートの丈が短い」としてつかみかかって殴りつけ、死に至らしめたものでした。加害者には実刑判決が確定しました。
 死亡事件ということも重大ですが、被害者・遺族への二次被害という意味でも恐ろしいものがありました。被害にあった生徒は普通の生徒だったにもかかわらず、「とんでもない不良」かのような事実無根の中傷を伴っての加害者への寛大な措置を求める署名が集められるなどしました。また被害者の自宅に嫌がらせの手紙や電話などが殺到したことも明らかにされています。
 事件直後の全校集会で思わず「(死亡した生徒を)返せ」と叫んだ生徒に対し、別の生徒が「うるさいっちゃ」などと怒鳴りつけた場面がテレビニュースで流れていた様子も鮮明に思い出されます。
 教師の暴行が直接の死因となったという意味での狭義の「体罰死」事件は、近大附属女子高校の事件以降15年の間には発生していません。
 しかし、教師の高圧的な指導が原因で自殺に追い込まれる事件、教師の懲罰的なしごきなどの対応が原因で体調を急変させた結果生徒を死に至らしめた事件など、広い意味では「体罰死」事件ともいっていいような事件は、この15年間でもいくつも発生しています。
 また命こそ落とさなかったとはいえども、教師の暴力が原因で重傷を負ったり重大な後遺症が残るなどの事件も、いくつも発生しています。
 子どもの人権をめぐる状況は深刻になっている一面がある一方、権利を守り発展させる立場での良識的な動きも広がっていることも事実です。ひどい事件も起こっていますが、個々の事件の被害者を少しでも救済し、また同種の事件を再発させないためにも、子どもの権利を守り発展させる動きが少しでも大きくなっていくことが求められているといえます。