懐風館高校「黒染め訴訟」問題でおかしなことを言う橋下徹

 大阪府立懐風館高校の生徒が「生まれつき茶色がかっている髪を、教師から無理やり黒く染めさせられたうえ、授業や行事への出席を拒否されて不登校に追い込まれた」と訴えた訴訟が大きく取り上げられている。

 この件に関して、橋下徹が2017年11月8日付の「president online」で「橋下徹”公立学校で黒髪強要が起きる理由”」とする文章を掲載している。

(略)さて、大阪において、少しニュースで話題になっている事件が発生した。大阪府立懐風館高等学校における生徒の「髪染め強要」事件であ&

 一読していたが、相変わらず内容がひどい。元大阪府知事の立場からの責任逃れ、責任転嫁満載という代物。

 橋下は言う。髪の毛の色など生まれつきのものを染めさせることは人権侵害にあたる、さらには学校生活では髪型も髪の色も服装も自由にすればいいという趣旨のことを。

 確かにこの言葉だけを見れば、橋下の発言を否定する理由はないとは思えるのかもしれない。しかしこれは、橋下がこれまでしてきたことを考えれば、人気取りと責任逃れのための「罠」であると考えざるをえない。

 2012年の年末に発生し、遺族側との調整を経て翌2013年の年明けに報道発表された、大阪市立桜宮高校での「体罰」自殺事件。この事件での、当時大阪市長だった橋下の言動を思い出す。橋下は元々「体罰」上等という論者である。しかし橋下は世間の事件批判に乗じて「体罰」反対かのように見せかけた。しかし「体罰」反対のように見せかけつつ、一部の「体罰」については引き続き認めていた。さらに重大なことは、桜宮高校事件を口実にして教育介入を強めたこと。橋下は事件を理由に「体育科の廃止」を教育委員会に求め、従わない場合は教職員の総入れ替えや予算措置などもちらつかせた。さらに生徒に対しても「十字架を背負うべき」と発言するなど、「桜宮高校に在籍しているだけで共犯」のように扱うような言動もあった。これらの橋下の言動も一因となったのか、通学中の生徒が通行人やバスに乗り合わせた乗客から絡まれて事件を糾弾するような罵声を浴びせられるなどの事件も複数発生した。

 懐風館高校の黒染め訴訟の問題に戻ると、橋下は頭髪や服装などの問題について「現実の行政を預かるとそうは簡単に言えない事情が色々ある」などとし、現行の教育委員会制度のもとでは首長が「個別具体的な教育的指導」に介入できないから問題が起こったかのようにねじ曲げている。

 しかし実際は、維新政治によって、行政が「個別具体的な教育的指導」に介入する風潮が強められてきた実態がある。

 橋下は「頭髪指導なんて超具体的な教育的指導であって知事、市長は原則こんなことに口出し・介入はできない」と記している。

 しかしこれは、橋下自身がしてきたこととも矛盾する。例えば、大阪市では2014年、当時市長だった橋下が、いわゆる「ゼロ・トレランス」の発想に基づいた生徒指導を提起した。橋下は2014年4月22日の「市長と教育委員との意見交換会」で「ゼロトレについて、モデル校的にやってほしい。教員の権威だけでやっていける時代ではない。ルールに基づいた運営をし、逸脱した場合にしっかり対応することをしてもらいたい。」と発言した。橋下の提起は「学校安心ルール」の形で具体化された。児童生徒の問題行動をいくつかのパターンに類型化し、類型に応じて指導方法を細かく指示している。これは「個別具体的な教育的指導」への口出しではないのか。

 「学校安心ルール」にしても、前述の桜宮高校事件にしても、少しでも機会があれば個別のことにも口出し・介入を図ってきたのに、「口出し・介入はできない」とうそぶいていることになる。

 懐風館高校での問題については、維新政治や教育基本条例による学校現場への締め付けが遠因となっているという指摘もされている。

 「3年連続定員割れの高校は廃校を検討」とする方針に伴い、維新府政になってからの高校入試制度の改悪と学区廃止も相まって、府立高校では各学校間での受験者・入学者獲得競争が激化することになった。また教職員への勤務評定も加わった。世間での茶髪への否定的な目もあり、「生徒指導をきちんとしている学校」「就職指導や指定校推薦での進学に強い学校」などの評判を得て生徒獲得に生かすなどの目的が、過剰な形に行き過ぎゆがみを生じたことが遠因ではないか、そのような指摘もされている。

 管理教育の問題などは維新以前からあるため、維新政治が問題のすべてとまではいえないが、維新が出てきてから生じたゆがみがかなりの影響を及ぼしているとも考えられる。

 橋下は自己正当化・責任逃れや人気取りのためか余計なことを言ったが、そのことで逆に自分のおかしな言動が浮き彫りになる形になっている。

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