髪の毛黒染め強要訴訟:反響広がる

 大阪府立懐風館高校3年の生徒が、「生まれつき茶色い髪なのに、教師から繰り返し染めるよう強要され、髪の毛や頭皮が傷むなどした上、授業出席や行事への参加を禁じられて不登校状態になった」として訴えた訴訟が、大きく報じられている。

 「生まれつき髪の毛の色が茶色いにもかかわらず、教師から黒く染めるよう強要されるなどして不登校になった」などとして、大阪府立懐風館高校(羽曳...

 この事案は海外メディアでも取り上げられるほどの反響を呼び、英語や他の外国語での記事にもなっている。

 裁判を報じた記事に反響が広がるもと、原告の女子生徒とは別の、大阪府内の高校に通う女子高校生が「自分も中学生時代に似た体験をした」と話し、ネットメディアで取り上げられている。

 「BuzzFeed」が2017年10月28日に配信した記事『「茶髪で生まれたら普通じゃないの?」 黒染めを強要された女子高生の想い』では、その高校生の体験が紹介されている。

 記事によると、取材に応じた女子生徒は、祖父がアメリカ人のクォーターで、生まれつき髪の毛の色が茶色いという。中学生時代に「黒染め強要」を迫られた体験談を話している。

 中学校の入学当日、他のクラスメートや保護者の前で、担任教諭から髪の毛を黒く染めるよう迫られた。母親が「娘はクォーターだ」と説明すると、教諭は「どこの血が入っていようが、なに人であろうが関係ない。これは市の決まり。普通は黒髪で生まれてくる。髪を染めてもらわなければ学校に来ては困る」と発言したという。

 その後、学校では教師から繰り返し呼び出され、取り囲まれて頭髪検査をされたりするなどのことがあったという。

 あるときには、「高校進学や行事参加も諦めろ」とも迫られた。この発言に「我慢の限界を感じた」として、生徒と保護者は教育委員会に抗議を入れた。最終的には、教務主任らからの謝罪があり、学校側に幼少時の写真を見せることで地毛だと認められ、黒染め強要はなくなったという。

 この女子生徒は、今回の報道について、「他人事とは思えずに悲しくやりきれない」「生まれ持ったものを否定するのは差別」「髪色一つで人格まで否定されるような社会は間違っている」「みんなが辛い思いをせず学校生活を送れるようになることを願います」などと話したという。

 訴訟となった懐風館高校の件にしても、別の高校生の体験談にしても、髪を黒く染めさせて当然というような学校の対応は異常である。

 しかも学校側は、自らの対応を正当化するためか、懐風館高校の原告生徒に対しては「生来的に金髪の外国人留学生でも、規則では黒染めをさせることになる」「母子家庭だから茶髪にしているのか」、体験談を話した別の高校生に対しては「普通は黒髪で生まれてくる」「ハーフ(の同級生)が黒髪に近いのになぜ、クォーターのあなたの髪がこんなに赤いのか」と、差別発言・人権侵害発言と認定されても文句を言えないレベルの斜め上の発言まで飛び出しているのも、両案件に共通である。生徒の人権よりも、「生来髪の毛が黒ではない人に対しても、一方的に黒髪を押しつける」という身勝手なこだわりの方が大切なのか。

 学校内の一部の論理ではともかく、学校外においては異常と認識されるからこそ、日本国内だけではなく海外でも大きく報じられることになったのであろうとも思われる。

 日本の学校における「子どもの人権」については、しっかりととらえ直し、遅れた現状を徹底的に是正していく必要がある。

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