給付型奨学金:枠が小さすぎて新たな矛盾も

 毎日新聞2017年10月4日付に『記者の目 給付型奨学金 選考で混乱=林由紀子(大阪学芸部)』の記事が掲載されている。

 大学などに進学する学生を対象にした給付型奨学金制度が導入されたものの、枠があまりにも小さすぎる問題が指摘されている。

 給付型奨学金は、受給希望者の出身高校から1人程度の推薦枠を設け、高校での成績を元にした成績要件も付くなどの状況である。記事では、高校が給付型奨学金の推薦候補者を絞る際に苦労している実情がリポートされている。

 日本学生支援機構は家計や学力などの推薦の指針を示し、客観性や公平性を求めたものの、実際に候補者の選定にあたる高校側では「漠然とした基準」と指摘する声もあった。

 各高校は苦心して推薦候補者を選定したが、日本学生支援機構は2017年7月、「各高校での審査が適切だったかを審査する」として、審査基準を示す資料の開示を求めた。応じない場合や審査基準が適していないと判断された場合は、次年度以降の推薦枠を配分しないとも示された。

 記事では以下のように訴えている。

 学校間に学力差があり、各校での成績をみても公平にはならない。そもそも困窮家庭の生徒の進学希望を後押しするのが目的のはずで、成績重視が強まると、生徒の実情を反映しにくくなる。専門家からは「家の経済力が学力に及ぼす影響は明らかで、成績要件を課すこと自体がおかしい」との声も上がる。対象者を無理に絞るほどひずみや矛盾は広がる。非課税世帯の希望者全てが給付対象となれば、問題は解決するはずだ。

 給付型奨学金制度が導入されたこと自体は一歩前進ではある。しかしその一方で、導入された制度は、実際は使いにくい制度になってしまっている実状がある。枠そのものが小さすぎて対象者を絞らざるを得ず、高いハードルを課して選別することで、新たな矛盾が出ることになる。

 やはり、枠そのものを広げていくことが重要なのではないか。