大分県立高校熱射病死亡事件:二審でも元顧問への求償認める判決

 大分県立竹田高校の剣道部で2009年8月に発生した熱射病死亡事件をめぐり、死亡した生徒の両親が、県が支払った損害賠償金約2755万円を当時の顧問教諭に求償するよう求めた訴訟で、福岡高裁は10月2日、一審大分地裁判決を支持して原告側の訴えを認め、県に対して賠償金約100万円を元顧問に求償するよう求める判決を出した。

大分県立竹田高校剣道部死亡事件
大分県立竹田高校の剣道部で2009年、体調不良の兆候を示していた生徒に対して顧問教諭が適切な対応を取らずに平手打ちなども加え、熱射病で死亡し...

 この事件は剣道部の部活動中に発生した。ふらつくなどの異変を示していた生徒に対し、顧問は練習続行を強要し、生徒が倒れる「演技じゃろうが」と罵倒し「気合いが入っていない」などと暴行も加えるなどした。生徒はその後病院に運ばれたが、熱射病で死亡した。

 生徒の両親が大分県や顧問教諭個人などを相手に訴えた訴訟では、大分県への賠償命令が確定した。その一方で、顧問教諭個人については、公務員の責任は県が負うとして、退けられる判決が確定している。

 大分県は生徒側に賠償金を支払ったが、元顧問教諭への求償はしなかった。生徒の両親は大分県に対し、元顧問教諭への求償をするよう求めた。しかし大分県は求償しない意向を示したために、さらに求償を求める訴訟を起こしていた。

 一審大分地裁では、保険でカバーできた分を除く大分県の実質的な持ち出し額のうち100万円を元顧問教諭に求償するよう命じていた。

高校剣道部員熱射病死亡事件、元顧問への求償権行使命じる判決
 大分県立竹田高校で2009年8月、剣道部の練習中に部員の男子生徒が熱射病で死亡し、背景には顧問教諭らの不適切指導があった事件で、死亡した生...

 今回の高裁判決でも、一審判決が支持されたことになる。

 国家賠償法では、公務員個人の賠償責任は自治体や国が負うとしている。一般的にいえば、担当者個人の責任に矮小化できない・してはならないような事故や損害も多々ある。しかし今回の事例は、顧問教諭が不適切な練習を強要し、暴力・「体罰」を加え、体調変化を放置したなど、故意ないしは重大な過失の問題が問われている。

 元顧問個人への直接の賠償責任が認められなかった判決は別の訴訟で確定したが、大分県が元顧問への求償を拒否する理由はないのではないかといえる。

 大分県に対しては、上告しないことを強く求める。

(参考)
◎部活中に熱中症で死亡、2審も元顧問の過失認定(読売新聞 2017/10/2)