沖縄戦「集団自決」教科書記述問題でシンポジウム

 歴史教科書から沖縄戦での「集団自決」(強制集団死)が軍命・強制だったとする記述が教科書検定により削除された事件から10年、記述の回復を求めて活動する沖縄県の「9.29県民大会決議を実現させる会」は9月13日、国会内でシンポジウムと写真展を開いた。

 この問題は、2006年度高校教科書検定(2007年3月結果公表)で、日本史教科書での「集団自決」の記述について、検定意見が付いて削除させられたことに端を発する。背景には当時、極右的な記述で知られた当時の「新しい歴史教科書をつくる会」扶桑社版教科書(現在は当時のつくる会反主流派が路線内紛で独立した日本教育再生機構・育鵬社版と、つくる会旧主流派・自由社版に分裂し、前者が主流派になる)につながる人脈が教科書検定の担当者だったということが背景にあったことが指摘された。また当時、沖縄戦の「集団自決」は虚偽だった、「集団自決」をまとめた作家・大江健三郎氏の著書「沖縄ノート」は名誉毀損だとして大江氏や発行元の岩波書店が訴えられた「岩波・大江訴訟」(のちに大江氏・岩波書店の勝訴が確定)があり、そういった人脈ともつながっていることが指摘された。

 当時の教科書検定の結果は大問題になり、国会で取り上げられるとともに、沖縄県では2007年9月29日に「県民大集会」も開催されるなど住民運動にもなった。

 しかし文科省は検定結果を取り消さず、また中学校社会科歴史的分野の教科書検定の内容にも波及している。ここ10年間、行間から「軍命」「強制」を浮かび上がらせようと工夫している中学校・高校の教科書も複数あるが、直接「軍命」「強制」を示す記述は記載できない状態が続いている。

 シンポジウムでは、集団自決の場所のひとつなった「チビチリガマ」がシンポジウム開催直前に荒らされた事件や、2016年度高校教科書検定では帝国書院「現代社会」で沖縄県の経済について「米軍基地依存」と印象づけるような誤った記述があり修正させたことなどの話題が出たという。また沖縄戦の記述に関しても「ひめゆり学徒」だけは取り上げられるものの、すべての女学校で学徒動員があったという史実を記載してほしいという訴えもあった。

 また、教科書検定をめぐる干渉や圧力を、沖縄が民意の力ではねのけてきたとも指摘された。

 沖縄戦の問題ひとつとっても、極右勢力・歴史修正主義勢力からの教科書検定への介入・干渉を、史実に即して、また民意によって、現時点では十分とはいえる結果ではないとはいえども策動を一定押し返してきたことになる。これからも引き続き、取り組みを強めていくことが必要である。

(参考)
◎蛮行断じて許さず 教科書、県民大会10年 「実現させる会」がシンポ チビチリガマ損壊に抗議(琉球新報 2017/9/14)