大阪府市大学統合、運営法人統合案を9月議会提出へ

 大阪府と大阪市は、府立大学と市立大学の統合に向け、各学校を運営する独立行政法人を統合する案を、大阪府と大阪市の9月議会にそれぞれ提出する方針を固めたと報じられている。

 公立大学法人大阪府立大学(大阪府立大学および府立大学工業高等専門学校を運営)と公立大学法人大阪市立大学(大阪市立大学を運営)を統合し、大阪府・大阪市の府市共同で「公立大学法人大阪(仮称)」を設置する計画だという。新法人は2019年度の発足を構想し、2022年度にも統合新大学を発足させたいとしている。

 しかし大阪府・大阪市での公立大学統合は、大学側の自主的・自発的な要求から生まれたものではない。

 大学統合は、大阪維新の会が「大阪都構想」と呼ぶ、大阪市の廃止・解体と大阪府への吸収構想から出発している。いわゆる「大阪都構想」の元で、「大阪府と大阪市が同じ分野の施設を運営しているのは二重行政」と難癖をつけられ、各分野で大阪府立と大阪市立の施設を強引に統合したり運営を一元化しようとしている。

  • 医療分野では、産科・周産期医療に対応するとして、大阪府立急性期総合医療センターと大阪市立住吉市民病院の統廃合が打ち出されて、新病院への統合名目で住吉市民病院の廃止計画が強引に進められ、2018年3月の閉院が確定事項にされた。しかし、住吉市民病院の周辺地域が産科・小児科医療の空白地域になることや、難病児童や障がい児の受け入れなど住吉市民病院が広域的に担ってきた独自の専門医療システムの継承先がないために、次の受け入れ先がない利用者が多数出て混乱を生んでいることなど、重大な問題が起きている。
  • 産業や公衆衛生などの研究所でも府市統合が打ち出され、これまで担ってきた体制が縮小されるのではないかと危惧されている。
  • 大阪市立の特別支援学校は府立にすべて移管された。また大阪市立の高校についても、府立への移管も含めた将来構想が練られている。
  • 図書館や体育館などについても、まだ具体的な統廃合計画などは出されていないものの、維新の議員や支持者の一部からは「二重行政」としてやり玉に挙がることもある。

 大学分野についても「二重行政」「府市統合」のやり玉に挙げられ、当時の橋下徹大阪市長や市長与党の大阪維新の会が、「大阪都構想」と絡めて強引な統廃合構想を打ち出した。

 府市大学統合については、経営陣は首長・行政の意向を受けて具体的に進めようとしているが、教職員や学生・卒業生など関係者からは強い疑問の声が上がっている。

 そもそも、同じ分野の施設を大阪府と大阪市がそれぞれ設置していても、二重行政にはあたらない。それぞれの必要性に応じて設置され、また具体的な運営方針や細かい得意分野なども差異がある。他地域でも県立大学と市立大学が並立している地域はいくつかあるが、「二重行政」などと難癖をつけられているのは、維新の府政・市政下の大阪府・大阪市だけである。

 関係者から具体的な統廃合要望が出ていないのに、ひとつの政治勢力の主張を元に、しかも大阪府・大阪市を破壊する妄想のたぐいだとも酷評され2015年の住民投票では明確に退けられた「大阪都構想」なるものを背景に、大学統廃合を一方的に進めるのは、将来に禍根を残すことになる。

 「大阪都構想」なるカルト的なおかしな主張に基づく一方的な政治的圧力での押しつけではなく、大学構成員の自主的判断を最重視し、統合の白紙撤回も選択肢として否定せずに、大学の将来像を描く必要があるのではないか。

(参考)
◎大阪府・市大、19年に運営法人統合案(読売新聞 2017/8/24)

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