教育出版小学校道徳教科書採択問題、教職員組合が要請:沖縄県那覇地区

 沖縄県那覇教科書採択地区(那覇市・浦添市など5市町村で構成)で、「異質な内容」と指摘された教育出版の道徳教科書が採択された問題で、沖縄県教職員組合(沖教組)那覇支部は8月14日に那覇市教委、同15日に浦添市教委に対して、採択の撤回などを求める要請書を提出した。

 要請書では、教育出版の道徳教科書では、安倍晋三首相の写真を文脈とは関係ない形で掲載していることが教育の政治的中立性を侵すとし、また国旗・国歌の扱いも戦前の修身のような扱いになっていると指摘した。その上で採択のやり直しや、審議会委員の氏名公開、議事録の公開などを求めた。

 中学校社会科教科書で育鵬社教科書を執筆した執筆陣の母体の「日本教育再生機構」につながる人脈が、教育出版の小学校道徳教科書を執筆している。

 安倍首相の写真は、5年生の教材「下町ボブスレー」に掲載されている。東京都大田区の町工場でボブスレーのそりづくりに挑戦する話だが、本文とは直接関係ない形で、ボブスレーのそりに乗ってポーズをとる安倍首相の写真が使用されている。

 現役政治家の写真が文脈とは直接関係ない形で唐突に出てくるのは、安倍首相だけではない。同じ5年生の教材で、あるラグビー選手を題材にした話に、当該ラグビー選手が東大阪市役所(大阪府)を表敬訪問した時の野田義和東大阪市長との記念写真も使用されている。野田市長は日本教育再生機構とも近く、同市では2015年度の中学校教科書採択時には育鵬社教科書を採択した。なお、東大阪市ではこの道徳教科書を採択しなかった。

 那覇市教委は「要請を受けて対応を検討したい」とするにとどめ、踏み込んだ見解表明は避けた。

 教科書採択地区協議会の事務局をつとめる浦添市教委は、2017年9月中旬にも、協議会の議事録を公開する意向を示した。その一方で審議委員の氏名公開などは拒否した。教科書採択の再審議については「予定はない」とした。

 このような教科書がなぜ採択されたのか、審議会の過程の詳細を解明する必要があるのではないか。

(参考)
◎沖教組「教育の政治的中立を」 那覇市教委に道徳教科書の採択撤回求める(沖縄タイムズ 2017/8/15)
◎小学校道徳「愛国教科書撤回を」 沖教組、那覇教委へ要請(琉球新報 2017/8/15)
◎教科書選定、議事録公表へ 那覇地区道徳教科書問題(琉球新報 2017/8/15)

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