学び舎教科書採択、少なくとも11校に抗議:毎日新聞が記事に

 2015年の中学校社会科歴史的分野の教科書採択に際して、「学び舎」の教科書を採択した国立・私立中学校に組織的と思われる抗議が届いていたと、2017年7月末以降相次いで報じられている。

 毎日放送のドキュメンタリー番組が7月30日の放送(関西地区ローカル)で放送し、また神戸新聞が8月4日付で灘中学校(兵庫県神戸市)の事例を取り上げた記事を出した。

2015年中学校教科書採択:特定教科書採択した学校に極右勢力が組織的抗議
 毎日放送が2017年7月30日深夜、同社のドキュメンタリー番組「映像'17」の中で「教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」と題した特...
学び舎教科書採択:灘校に組織的と思われる抗議
 2017年7月30日に毎日放送で「映像'17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」と題したドキュメント番組が放送された。  ...

 毎日新聞も2017年8月8日(ウェブ版)の記事『教科書 慰安婦言及 灘中など採択学校に大量の抗議はがき』で、この問題を取り上げている。

 記事によると、学び舎教科書採択への組織的と思われる抗議はがきは、少なくとも11校に届いていたという。育鵬社教科書を採択した国立・私立中学校は全国で38校あるが、灘校のほか、10校の学校が匿名を条件に抗議はがきが届いたと明かしたという。

 毎日新聞の記事では、産経新聞が2016年3月19日に、学び舎の教科書を非難する記事を出したことにも触れている。なお「日本教育再生機構」系の執筆者が執筆している教科書を発行する育鵬社は、産経新聞グループの関連会社でもある。

「学び舎」中学校歴史教科書採択、産経新聞が否定的記事
 産経新聞ウェブ版2016年3月19日付が、国立・私立中学校少なくとも約30校で「学び舎」歴史教科書が採択されたことについて、否定的に描く記...

 抗議はがきは同一文面がワープロ打ちされ、組織的な関与もうかがわせるものだった。灘校には200通以上届き、差出人に首長の氏名が記載されたものもあった。

 抗議内容は、学び舎の教科書で、従軍慰安婦問題について触れた「河野談話」を取り上げていることなどをあげつらい、「反日極左」の教科書を採択しないように求める内容だという。

 抗議を受けた学校の担当者は、「執拗な電話もあり脅迫のようで怖かった」「教育の独立性が脅かされる」「大変な時代だ」「繰り返されたら面倒を避けようと、次の教科書採択に影響が出る学校もあるのでは」などと話している。その一方で、抗議を受けて採択を変更した学校はなかった。

 教育の自主性を考えると、自分たちの独特の政治信条とあわない「反日極左」の教科書だから採択させないなどという外圧をかけるのは、良識に反することである。学び舎教科書を敵視する勢力は、育鵬社教科書の支持勢力ともほぼ重なっているが、怖さを感じる。