学び舎教科書採択:灘校に組織的と思われる抗議

 2017年7月30日に毎日放送で「映像’17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」と題したドキュメント番組が放送された。

 放送は関西ローカルだったとはいえども、番組予告を紹介する文章がスポーツ紙のウェブサイトに掲載され、関西在住の視聴者が放送の内容をツイッターなどに書き込むなど反響を呼んだ。

2015年中学校教科書採択:特定教科書採択した学校に極右勢力が組織的抗議
 毎日放送が2017年7月30日深夜、同社のドキュメンタリー番組「映像'17」の中で「教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」と題した特...

 番組では、2015年中学校教科書採択に際して、「学び舎」の教科書を採択した学校について、組織的と思われる抗議があったなどの内容が指摘されていたという。

 番組の反響に呼応したのか、灘中学校・高等学校(兵庫県神戸市)の校長が2016年に同人誌に寄稿した「謂れのない圧力の中で ――ある教科書の選定について――」と題する文章がインターネット上で広げられ、反響を呼んでいる。灘校の校長は文章の中で、2015年の中学校教科書採択で学び舎の歴史教科書を採択したことについて、学校に多数の抗議があったことを明かしている。

 当該の文章によると、灘校での教科書採択は、教科担当者の合議で候補を絞り込んだ上で、校長を責任者とした採択委員会が最終的な採択を決める方式をとっていると紹介している。採択を決めたのち、「自民党の一県会議員」や「本校出身の自民党衆議院議員」から学び舎教科書採択についての問い合わせがあったこと、衆議院議員は「政府筋からの問い合わせ」と話したこと、文面が同一の抗議はがきが次々と届きだしたことなどについて触れている。また学校に届いた抗議はがきの文面は、「近現代史研究家を名乗る水間政憲氏」のサイト内にある、学び舎教科書を採択した学校への「抗議」の呼びかけの文例と同一のものが多いことから、組織的な「抗議」活動の発信源はここではないかとも触れている。

 「神戸新聞」2017年8月4日付『灘中に「教科書なぜ採択」盛山衆院議員ら問い合わせ』では、校長が書いた文章では匿名になっていた議員の実名を挙げて、経緯を記事にしている。

 神戸新聞では、灘校に「問い合わせ」をおこなったのは、盛山正仁衆議院議員(自民党、比例近畿、灘校周辺を含む兵庫1区が地盤)と和田有一朗兵庫県議(自民党・神戸市垂水区選挙区)だと名前を挙げている。

 神戸新聞の取材に対して、両氏は学校側に問い合わせをおこなったことは認めたが、「圧力ではない」としている。抗議はがきについては、関連性を否定した。また盛山衆院議員は問い合わせの際に「政府筋からの問い合わせ」といった覚えはないとした。

 あくまでも「問い合わせ」であって「圧力ではない」という論理である。しかし特定の教科書の採択を否定すると受け取れる形で政治家が動き、また組織的と思われる形での抗議があれば、圧力と受け取られるのは当然ではないか。

 しかも議員側は否定したものの「政府筋からの問い合わせ」とくれば、安倍首相が育鵬社教科書を推している立場であることも加わって、余計に圧力と感じるのではないかといえる。