森友学園問題:国の補助金問題で前理事長夫妻を逮捕

 一連の森友学園問題に関連して、大阪地検特捜部は7月31日、小学校建設にかかる国の補助金をだまし取ったとして、籠池泰典前理事長と、妻の籠池諄子・塚本幼稚園元副園長を詐欺容疑で逮捕した。

 森友学園が大阪府豊中市に開校を計画していた「瑞穂の國記念小學院」の校舎建設工事の際、建設費用を水増しし、木材を先進的活用した建築に対する国の補助金約5400万円を不正に得たとされることが、今回の逮捕容疑の対象になった。なお逮捕容疑となった問題の補助金については、すでに国に返還している。

 大阪地検では籠池氏夫妻の認否を明らかにしていない。

 一方で籠池氏側は、逮捕前のマスコミ取材や大阪府議会での参考人招致の際には「こちらに反省すべき点もあるが故意ではない」「担当の弁護士に任せていた。不正や不適切行為といわれるものは後から把握した」という趣旨を話していた。

 森友学園問題については、国の補助金のほか、大阪府・大阪市の補助金(教職員配置、特別支援教育対策)の不正疑惑、同学園が運営する幼稚園でおこなわれていた不適切な「愛国教育」、幼稚園や籠池夫妻が経営していた系列保育所(休園中)でおこなわれていた虐待疑惑や保護者への不適切対応、小学校設置認可に際しての大阪府の対応、小学校建設用地として国有地が不適切取引された疑惑など、問題が多岐にわたっている。

 一連の問題は、籠池氏側にも当然のことながら重大な責任がある。しかしその一方で、籠池氏や学園経営陣だけに責任を押しつけ、他の人間や組織は関係ないとばかりに扱うことも誤りである。他にも厳しく責任を問われるべき人物や集団がいる。

 背景には大阪維新関係者や安倍首相の教育思想とも密接につながる「日本教育再生機構・日本会議」的な極右的な教育観がある。籠池氏・学園側が小学校設置に向けて動いていたことが、そういう極右政治家にとっても、自分たちの「理想の学校」を作る絶好のチャンスとばかりに籠池氏との利害が一致した。

 森友学園が運営している塚本幼稚園では当時、著名な極右政治家や極右言論人が多数講演をおこない、教育勅語暗唱などの極右教育を持ち上げていた。小学校計画の際には、当初は「安倍晋三記念小学校」の名称で設置することも検討され、安倍昭恵・首相夫人が名誉校長に就任していた。

 また大阪維新の会も、政党組織として塚本幼稚園の教育方針を持ち上げていた。所属議員に幼稚園の視察をさせるなどのこともあった。また、「幼稚園が日常的に、公園を幼稚園グラウンド代わりに無断占拠して困っている」という近隣住民からの苦情・トラブルを背景に、大阪市が幼稚園前の公園の緑化工事を計画した際には、維新の大阪市議が幼稚園側の意向を代弁する形で、大阪市の公園担当者を恫喝する対応をとった。恫喝した大阪市議の一人・村上栄二(当時東淀川区選出、2015年市議選には出馬せず、2016年の広島県福山市長選に転身し落選)は、担当者への恫喝を自慢げにブログに記載していた。また村上はこの件のほかにも、塚本幼稚園の教育方針を賛美する内容を、しばしばブログに記載していた。

 本来ならば学園の経営体力的に小学校への参入は厳しいにもかかわらず、2011年に橋下徹知事のもとで大阪府が私立小学校認可基準緩和を検討し、府知事選による松井一郎知事への交代直後に基準緩和が実現したこと。大阪府私学審議会で委員からは疑念が出され、また疑念は解消していないにもかかわらず事務局(府私学課)主導で学校設置認可答申を出したこと。大阪府での動きとリンクするような形で、小学校建設用地になった国有地の貸し付け、のち買い取りに関する作業も、国が学園に便宜を図っているとしか考えられないような異例の形で進んでいったこと。――これらの経過は、籠池氏・学園側の意向だけでできるようなものではない。

 背景にある、大阪府や国の動きも問われなければならない。