奈良県立高校生徒転落死:背景にいじめや教師の指導

 奈良県立奈良北高校1年の男子生徒が2015年12月に校舎から転落死した事件で、奈良県教育委員会は7月21日、背景にこの生徒へのいじめや教師の指導があったとする調査結果をまとめた。

 生徒は入学当初から積極的に他の生徒に話しかけるなどしていたものの、次第に「浮いた存在」として扱われるようになっていったという。クラスのほぼ全員が加入している「LINE」のグループから外されたり、他の生徒からからかわれるなどの行為があった。調査ではこれらの件についていじめと認定した。

 また調査では、この生徒が他の生徒への暴力などで特別指導を受けていたことも指摘した。特別指導は別室で数日間にわたり反省文を書かせるなどといった内容だったという。

 事件当日は期末テストだった。この日、他の生徒が「この生徒が、消しゴムに答えを書き込む手法でカンニングしているのではないか」と教師に届け出るトラブルがあった。その場ではカンニングの痕跡は確認されなかったが、次の時間の試験中にこの生徒は「トイレに行く」と申し出て教室から退出し、その後飛び降りたとみられる。残された答案用紙には、カンニングは潔白という内容や、継続的ないじめを受けていたとする訴えが書かれていた。

 調査では、生徒が転落した原因について、かねてからのいじめや教師の指導への苦痛に加えて、当日の「カンニング」騒動によって「退学になるのではないか」と追い詰められたことが考えられるとしている。

 学校側の対応についても、「いじめに気づく機会が何度もあった」「生徒への特別指導の内容も教育的とはいえない」と指摘している。

 いじめ自殺と指導死の複合案件ではないかと推定されるということになる。いじめについては、適切に対応できなかったのだろうか。また教師の指導についても、長期間隔離して反省文を書かせるという指導も、適切とはいえないのではないか。暴力を振るったとされる背景については報道では触れられていないが、いじめに耐えかねて反撃したことを一方的な暴力と扱われたということはないのかについても、検討を深めてほしい。