「君が代」処分で再任用拒否:元大阪府立高校教諭らが人権救済申立

 卒業式の「君が代」不起立で戒告処分を受けたことを理由に、大阪府教育委員会が定年退職後の再任用を拒否したのは憲法違反だとして、大阪府立高校の元教諭2人が7月14日、大阪弁護士会に人権救済申立をおこなった。

 この案件は、2017年6月に週刊誌で報じられていた案件と同一と思われる。

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 当該の元教諭らは、卒業式で「君が代」斉唱の際に起立せず、戒告処分を受けた。大阪府教育委員会からの「意向確認」にも、「良心に従って行動する」と記述して突き返した。

 定年退職を間近に控え、当該教諭らは定年退職後の再任用を希望した。しかし大阪府教育委員会からは「不合格」とされた。一人の教諭は、校長から「非常勤講師としてなら採用できる」と打診されて応じたものの、直前になって「大阪府教委の意向で、非常勤講師としても採用できなくなった」と通知された。

 大阪府教育委員会では、定年退職後に再任用を希望する教諭はほぼ例外なく再任用され、中には「体罰」で重い処分を受けた者ですら再任用されている。例外的に再任用が不合格になった事例については、不合格理由の大半が「君が代」起立拒否での処分歴だという。

 報道によると、当該の元教諭らは申し立て後の記者会見で、「『体罰』や飲酒運転の前歴でも再任用される一方で、『君が代』処分歴での拒否は、特定の考え方の排除であり公平性を欠く」「問題の背景には、安倍晋三首相や松井一郎大阪府知事・維新代表が応援する教育がある」「府教委は再任用拒否について『総合的な判断』としか説明せず、説明責任を果たしていない」と批判している。

 当該の元教諭の主張は正論だといえる。

 歴史的な背景でいろいろな考え方があり、国旗国歌法でも強制はあってはならないという政府答弁がされた「君が代」の扱いについて、行政に従うかどうかの踏み絵として扱うという大阪府教委のやり方自体が間違っている。強制・統制の手段として扱うのは、「君が代」そのものには賛成という立場の人にとっても愚弄なのではないか。

 「安倍晋三首相や松井一郎大阪府知事・維新代表が応援する教育」については、行政など権威・権力への統制を求める傾向が強い、極右的で超国家主義的・歴史修正主義的な主張、新自由主義的な競争原理万能論などの特徴がある。日本教育再生機構、親学、育鵬社中学校教科書問題、高校日本史科目で実教出版教科書(2013~16年版)の採択排除の動き、教科書検定での政府見解に沿って記述するよう求める傾向が強まった問題、道徳教育の教科化、全国学力テスト、教育委員会制度の改変、2006年末の第一次安倍政権下でおこなわれた教育基本法改悪、大阪府での「教育基本条例」による教員統制と教員志望者の他県流出など、具体例を挙げればきりがないが、それらは根底の部分でつながっているともいえる。

 安倍首相や維新の考え方とも歩調を合わせるような教育は、日本および世界の社会や人権思想の到達点と著しく反するものではないか。

 人権救済申立については好ましい形で結論が出るように強く願う。また同時に、一連の事件が起きた背景には、国政や大阪府政の流れも無視できないものであり、それを放置していれば類似事件が起きる火種も残されていることにもなる。その点についても検討し改善を図っていかなければならない。

(参考)
◎「君が代」処分で再任用不合格 元教諭2人、救済申し立て 大阪(しんぶん赤旗 2017/7/16)