堺市立小学校O157集団食中毒から21年、「追悼と誓いの集い」

 大阪府堺市の小学校で1996年7月に発生したO157集団食中毒事件。「追悼と誓いのつどい」が7月12日に堺市役所でおこなわれた。

 堺市では、最初に患者発生が確認された7月12日を「O157堺市学童集団下痢症を忘れない日」として、毎年この日に式典を開いている。竹山修身堺市長が「亡くなられた4人の無念さ、遺族の悲しみを考えると痛恨の極み。事件を風化させてはならない。市民のみなさまの命と健康を守れるよう全身全霊を傾ける」と誓いの言葉を述べ、死亡した児童の名前・学校名・学年が刻まれた記念碑前で市民らが献花をおこなった。

 O157事件での被害は市域のほぼ全域に及び、児童と教職員・家族など約9500人が発症し、3人の児童が死亡した。このほか19年後の2015年、当時小学生で被害に遭った女性が、後遺症が原因で死亡している。現在でも20人近くが、後遺症の影響で経過観察や治療を要するとされている。

大阪府堺市立小学校で1996年、学校給食が原因とみられるO157集団食中毒が発生した事件。食中毒被害は1校にとどまらず市内の大半の小学校に広...

 O157事件は、堺市の行政にとっても忘れてはならない事件である。また、日本全体としても、日本における学校給食の歴史上最大の事故ともなっていて、決して事件を風化してはいけない。

 このような事件が二度と起きないよう、学校給食の安全性についても細心の注意を払い、安全・安心の学校給食を安定的に提供できるようにしていくことが求められている。

 そんな中で、気になる情報が。

 陣営名は名指しはされていないが、2017年9月に実施予定の堺市長選挙では、現職の竹山修身市長と、大阪維新の新人が名乗りを上げている。竹山市長は追悼式典に出席していた。ということは、あの陣営である可能性が高いことになる。

 堺市長選挙では、いわゆる「大阪都構想」に堺市を巻き込むかが争点となることになる。

 堺市は2006年に政令指定都市に移行し、市として独自の権限を得て施策を進めてきた。教育分野についても、教員の独自採用や独自加配による少人数教育の実現などで堺市の実情に合ったきめ細やかな教育体制の実施、選択制弁当形式だとはいえども中学校給食の導入、泉北高速鉄道を利用する学生を対象にした通学定期補助制度の導入など、少しずつ前に進んでいる。

 一方で「大阪都構想」では、一度大阪市が解体されて特別区になると、周辺市については住民投票などの手続きではなく議会や首長の意向だけで特別区への移行・解体が可能になる仕組みとなっていて、大阪市と隣接する堺市では危機感を募らせている。特別区になると、政令指定都市独自でできていた行政の権限の大半が府に移ることになり、施策をしようとしても府におうかがいを立てたり府から断られるとできなくなるなどの弊害が予想される。

 また大阪維新は、それぞれの地域の実情から出発して街づくりを考えるという視点はほとんどなく、首長や議員が机上で考えたことをそのまま住民に押しつける乱暴な手法が目立つ。しかも住民や街の実態に合っていないことを無理やり押しつけられることで、不具合も多数生まれている。

 再びO157の悲劇を繰り返さないためにも、安全・安心の学校給食のためにも、また子どもたちが生き生きと成長できる教育のためにも、政令指定都市・堺市の未来についても考えていく正念場になってくる。

スポンサードリンク