小学校道徳教科書:「子どもと教科書全国ネット21」が談話

 「子どもと教科書全国ネット21」は7月5日、2017年に検定結果が発表された小学校道徳教科書についての談話を発表した。

 全8社の小学校道徳教科書を比較し、「他社と異なる異様な内容が含まれている」として教育出版の教科書内容に強い疑念を感じるとする見解を示した。

 教育出版の小学校道徳教科書については、育鵬社中学校社会科教科書を手がける日本教育再生機構の関係者が執筆陣となり、日本教育再生機構やその背景にある日本会議の特異な思想を背景にした一方的な道徳の押しつけにつながるのではないかと、かねてから各方面から危惧されてきた。

 「子どもと教科書全国ネット21」の談話でも、「国旗・国歌」の扱いの異様さ、安倍晋三首相など現職政治家の写真を使っていることで政治的中立に抵触するのではないかなど、これまで各方面から危惧されていた内容と似たようなことが指摘されている。

 「国旗・国歌」については小学校2年の教材で取り上げられている。オリンピックを題材に、オリンピックでは国旗を掲げ国歌を演奏するという趣旨で話が進んでいる。しかしこれは不正確で、オリンピックで使われるのは「選手団の旗・選手団の歌」である。オリンピックでいえば、台湾の扱いや、韓国・北朝鮮の統一チーム編成などの事例もある。

 また現職政治家の扱いについても異様である。小学校5年の教材では、東京都大田区の町工場でボブスレーのそり制作に挑戦した「下町ボブスレー」の教材で、ボブスレーに乗ってポーズを取る安倍晋三首相の写真が使われている。また5年の他の教材でも、ラグビー選手の話で、教材の主人公となった選手が大阪府東大阪市役所を表敬訪問した際の、現職の野田義和東大阪市長との記念写真が使われている。

 いずれも、現職の政治家の写真を掲載することは、他に例を見ないものとなっている。またいずれも、教材のストーリーの流れとは直接関係なく、唐突に差し込まれたものだという印象を受ける。しかも、安倍首相にしても野田市長にしても、育鵬社・日本教育再生機構の教科書を支持する立場でもある。

 他の教材にも、問題点や違和感を感じるものも多々ある。教育出版の教科書は、他教科ではよくできているものも多いが、小学校道徳については育鵬社・日本教育再生機構関係者の執筆陣で占められて、おかしなことにもなっている。

 他社の道徳教科書にも一長一短はあるが、教育出版道徳教科書には違和感が目立つ。

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