維新政治による大阪の教育破壊:AERAがリポート

 「AERA」2017年6月12日号に『「維新」で傷む大阪(下) 体罰より悪い不起立 大阪から逃げる教員』が掲載されている。

 2010年に大阪維新の会が現れてから、大阪府や大阪市の教育現場は、維新による教育介入・教育への引き回しで大きな打撃を受け続けている。

 維新が大阪の教育現場で何をしてきたかのリポートである。この記事では、「君が代」不起立問題と定年退職後の再任用拒否の問題について記されている。

 大阪維新の会主導で2011年、大阪府「国旗国歌条例」(大阪府の施設における国旗の掲揚および教職員による国歌の斉唱に関する条例)が制定され、「日の丸・君が代」を強制する条例的根拠が作られた。

 東大阪市内の府立高校で社会科を教えていた教員は、3年生の担任だった2012年3月、卒業式での起立斉唱拒否によって戒告処分を受けた。処分の際には、府教委が用意した「反省文」に署名するよう求められたが、当該教員は「条例に反することは二度としません」と記された部分に取り消し線を引き「自分の良心に従って行動します」と付け加えて突き返した。担当者は何も言わなかったという。

 教諭は定年退職間近の2017年1月、校長から5年前の「反省文」を突きつけられ、「正しいものに書き直しますか」と迫られた。教諭が拒否してから3週間後、校長を通じて、定年退職後の再任用が不合格になったと告げられた。

 校長は非常勤講師としての継続雇用をこの教諭に打診し、4月からはこの学校と近隣の高校の2校で非常勤講師として採用されることが内定した。

 しかし年度が替わり、時間割も決まり教科書も受け取った4月6日になり、校長から「府教委の意向で、非常勤講師としても採用できなくなった」と通告されたという。もう1校の高校にも連絡を入れたが、同様の回答が返ってきた。

 別の守口市立中学校の理科教員も、前述の教員と同じく、2012年3月に卒業式での「君が代」着席で戒告処分を受け、定年退職後の再任用に不採用になった。

 大阪府教委は2人の再任用不合格について「総合的判断」としている。

 その一方で、大阪府教委が再任用教員の採用を決定する審査会の議事録によると、希望者はほぼ例外なく再任用されている。「体罰」や飲酒運転などで重い処分を受けたものでも再任用されている一方で、2012年度以降の6年間で不合格になった懲戒処分経験者9人中7人が「日の丸・君が代」不起立に絡む処分だったという。

 「体罰」ともいわれる生徒への暴力・虐待事件は、教職員としての資質に完全に反する行為であり、それだけではなく人間としての資質すら疑われるものである。歴史的な背景から様々な見解があり、また教員としての能力とは直接関係ないような「君が代」を「行政に従わせるための踏み絵」として、暴力・人権侵害行為よりも悪質な行為かのように扱うことは、明らかに不当といえるのではないか。

大阪の教育の質の低下

 記事では、良心的な教育者が大阪の教育に距離を置き始めている実情にも触れている。

 私立高校の理事長が「大阪府立高校をやめたベテランの優秀な教員が流れてくるので(自分たちの学校経営としては)助かっている」と話したという。

 また、教員養成大学の教員が「教え子を大阪の公立学校には送り込みたくない」として、指導している教員志望の学生に対して、大阪府・大阪市以外での教員採用試験の受験を勧めている事例が多数あることも指摘されている。

 記事では触れられていないが、維新の府政・大阪市政になってから、教員志望者が大阪府・大阪市の教員採用試験の受験を避け、近隣府県の教員採用試験を受験する傾向が強まっていることも事実である。

 大阪生まれ大阪育ちで大阪で教員になりたいと思っていても、維新が教育現場を締め付けている限りは夢をあきらめざるをえないとして、こういう状況になっている。また現職の教員も、条件がある人は他県や私立に流出する事例も増加している。

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 教員の労働条件・職場条件が悪化することは、学校の教育条件が低下することとも密接につながっていることになり、児童・生徒や保護者・地域住民にとっても都合が悪い。

維新政治の弊害

 維新のでたらめな教育政策によって、大阪府では「日の丸・君が代」強制だけでなく、度重なる高校入試改悪、学力テストでの学校平均点の一面的な扱いによる高校入試調査書の評定(いわゆる内申点)への影響など競争と学校序列化、府立高校統廃合、公立高校つぶし・私学利権と一体化した「私学無償化」、府立高校の学校図書館司書の廃止など、問題が表面化している。

 また大阪市では、学校選択制、中学校給食をめぐる混乱、小学校・幼稚園統廃合などの弊害が表面化している。

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 2017年に発覚した一連の森友学園問題についても、大阪府側は変わり者の学校経営陣が暴走しただけかのように矮小化しようとしているが、大阪府の維新政治があのような事件の源流にあるといってもいい。

 私利私欲を図り、意に沿わない人間には暴力的に恫喝して従わせようとするような、維新のやり方そのものが現代社会にはふさわしくない。維新の存在による弊害は社会の各分野にわたっているが、教育や子どもの分野だけとっても、こういう集団や手口をこれ以上放置していては取り返しがつかないものとなっている。

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