道徳教科書を考えるシンポジウムが開催される

 「子どもと教科書全国ネット21」は5月13日、道徳教科書を考えるシンポジウムを東京都内で開催した。

 シンポジウムでは、小学校で2018年度より「特別の教科」に移行することになっている道徳について、新規制作され初めての検定結果が出た道徳教科書(1学年用~6学年用まで計66冊)の内容や問題点などの分析結果が報告された。

 報告では、66冊に対して文科省の検定意見は244件、1冊あたり平均3.7件であることを指摘した。検定意見の数については「初検定としては異例の少なさ」として、発行者側の自主規制がうかがえると分析した。

 また道徳授業については「教科書通りの結論や考えを児童生徒に書かせ、教員がそれを評価することになる」という危惧も指摘された。

 会場からは「教員も指導のあり方ががんじがらめになる」「いじめはやめましょうといった言葉ではなく、集団生活の中で学ぶのが本当の道徳ではないか」などの意見が出されたという。

 このような危惧は、道徳の教科化が具体化してから、ずっと出されていたことではある。文科省や一部の政治家は、道徳教育を「徳目の刷り込み」という狭い意味でとらえ、子どもたちが自主的に考えて自らの内面に道徳性を育成していくという視点が著しく弱いことが、かねてから指摘されてきた。

 道徳が「特別の教科」に移行することに伴って検定教科書も作成されたが、教科書で示されている徳目基準にどれだけ近づいたかを評価することになるという危険性は、全く拭い去れていない。

 また道徳教科書検定の内容についても、大きく報じられた「パン屋の設定だった登場人物の友人の家が、和菓子屋に変えられた」ということも含め、特定の価値観をすり込むと思われるような一方的な内容が目立っている。

 このような一面的な道徳教育押しつけに対して、子どもたちが道徳性の育成も含めて自主的に考えていく力を育む新たな教育実践を対置していくことが必要になってくる。

(参考)
◎小学校教科書 教員・子 がんじがらめ 道徳66冊分析シンポ(しんぶん赤旗 2017/5/14)