私立小中学校に子どもを通わせる世帯への授業補助、効果は?

 『東京新聞』2017年4月29日付が『10万円補助は効果ある? 私立小中学校に通わせる年収400万円未満の保護者』の記事を出している。

 文部科学省は2017年度より、私立小中学校に子どもを通わせる年収400万円未満の世帯に、年間10万円の授業料補助を出す制度を創設した。

 その制度について検討している記事である。

 記事では、私学団体の要望を背景にして、制度が導入されたことについて触れられている。

 一方で、授業料以外の入学金などの諸経費や、受験準備のための学習塾費用などを総合的に考えると、10万円では足らず、受験者数が増えるとは考えにくいという指摘が紹介されている。

 また、義務教育の小中学校で全員を受け入れることができることや、私立小中学校の数は圧倒的に少ないことから、まずは公立学校の質の引き上げを重視すべきとする指摘も紹介されている。

 教育権という理念から考えると、制度自体を頭ごなしに全面否定するものではないが、その一方で優先順位があるのではないかという印象も受ける。

 まずは公立小中学校の質の引き上げ・充実ではないか。それをしないまま、私学に子どもを通わせる世帯にのみ補助するとなると、圧倒的多数の児童・生徒を無視して、一部の家庭や私学経営者だけを優遇することにもつながってしまう。

 もっとも、在学中に不慮の事態で家計が急変するなどの事情に見舞われた世帯には、転校など子どもの負担にならないような援助制度も必要かもしれない。しかし、そういう状況とは異なり、公立学校を充実させずに私学に誘導させるとも受け取れるような制度はどうなのか。

 大阪維新が主導した大阪府での私立高校無償化についても、公立を充実させないままに私学経営者を優遇することになっているのではないかという見方も出されている。小中学校についても同じことにならないだろうか。小中学校は義務教育だから、高校以上にひどいことになるおそれもある。