給食牛乳異臭問題:東京都新宿区では新年度より業者変更

 明治戸田工場(埼玉県戸田市)で製造された学校給食用瓶入り牛乳で2017年9月、配送先の東京都や埼玉県の小中学校から相次いで異臭や「味がおかしい」などの訴えがあった問題。

 この問題に関連して、牛乳を納入していた自治体の一つである東京都新宿区は、2018年4月以降紙パック製に変更し、納入業者も変更したと、毎日新聞2018年4月15日『新宿区 給食牛乳異臭問題 瓶→紙パックへ 業者も変更』が報じている。

牛乳の異臭問題

 異臭事件は2017年9月25日に起きた。

 同日に提供された学校給食用瓶入り牛乳(2017年9月22日に明治戸田工場で製造)を飲用した小中学校から、「牛乳の味がいつもと違う」「塩素臭やガソリン臭などがあった」などの訴えが相次いで寄せられた。

 問題となった牛乳は、東京都新宿区・渋谷区・板橋区・豊島区、埼玉県ふじみ野市・和光市の各自治体の小中学校に納入されていた。計177校中42校で異変の訴えがあった。

 訴えを受けて牛乳の成分分析や行政の立ち入り調査などがおこなわれたが、工場衛生上の問題や異物混入などは確認できず、原因は特定できなかったとしている。

 明治では「生乳は気温・湿度・乳牛の餌などで風味が変化する。通常は複数の農場の牛乳を混ぜ合わせて風味を調整するが、問題の日の牛乳は単一の農場の牛乳を使用した。一般的にお子様は風味に敏感といわれていて、風味をいつもより強く感じたのではないか」と結論づけた。

国会でも取り上げられる

 異臭問題については、2018年4月13日の参議院消費者問題に関する特別委員会の質疑でも取り上げられている。

 質疑の中で、山添拓参議院議員(日本共産党)は、「原因がわからないといいながら、明治は原料供給元における風味の問題だとして、塩素臭やガソリン臭を子どもの味覚の問題にして、酪農家のせいにしている。酪農家からは『どんな牛の飼い方をすれば塩素臭やガソリン臭がするのか』『原乳が原因ならどの製品からも苦情が寄せられるはずなのに、学校給食用牛乳の約1900人だけが異臭を訴えるのはありえない』という声が出ている」などと指摘している。

新宿区の牛乳切り替えの背景

 新宿区教委は明治の対応について「児童・生徒の過剰反応に結論づけている」と反発し、区議会でも明治の対応に疑問を呈するような質疑がおこなわれたという。

 新宿区教委では「瓶入り牛乳は重いことから、いずれ近いうちに紙パック入りの牛乳に切り替える構想があった」として、異臭問題を機に紙パック入りへの移行を具体化させ、2018年4月より紙パック入りの牛乳提供へと切り替えた。

 学校給食用牛乳の業者は入札で決まり、区として業者指名はできない。明治は紙パック入り学校給食用牛乳を製造していないことから、結果的に明治は入札に参加できず、他社へと切り替えた形になった。

安全・安心の学校給食を

 学校給食での異臭問題については、公式には「原因不明」とされた。

 一方で、塩素臭のような訴えがあったことから、タンクや牛乳瓶の洗浄過程で何らかのトラブルがあった可能性があるのではないかとする指摘もされている。

 また公式発表では、「原因は不明といいながら、実質的には子どもの味覚や酪農家のせいといっているようなもの」と受け取れるようなものともなっていることにも、強い疑問が出されている。

 いずれにしても、原因不明のままでは、安全・安心な給食提供という点では疑念が残るということになる。

 新宿区では紙パック移行として、結果的に他社への切り替えという形にはなった。しかし新宿区で別業者に切り替えたから全面解決というわけではなく、異臭の原因を「不明」扱いせずに、さらに究明を深めていくべきではないか。