大阪市中心部で児童急増、分離新設校や分校設置も検討

 大阪市では、市内中心部での児童数が急増傾向が止まらず、複数の小中学校で近い将来、教室不足や学校の過大規模化が見込まれている。

 大阪市は北区・西区・中央区の3行政区、小学校9校と中学校1校について、児童・生徒数急増で過大規模化傾向が進み受け入れ体制が限界を超えると見込まれる「特に課題がある学校」と判定し、既存校からの分離新設校や分校の設置などの対策を早急におこなうべきとしている。

 2018年3月29日に「第3回 大阪市内中心部児童急増対策プロジェクトチーム会議」を開催し、方向性を示した。

大阪市での実態

 大阪市では1980年代以降、都心部のドーナツ化による定住人口数・児童生徒数の減少に伴い、北区や中央区を中心に小中学校の統廃合が進んだ。

 一方で近年では、北区・中央区や西区を中心にタワーマンションなどが多く建設され、人口の都心回帰傾向が進んでいる。それに伴い、都心部には子育て世代も多く移住するようになり、地域の子どもの数が急増した。

 このことに伴い、地域の幼稚園・保育所や小学校では児童の数が急増し、受け入れ困難な状況も生まれている。

大阪市が提示した方向性

 大阪市では、分離新設校の設置や分校の設置、同一敷地での校舎高層化、近隣の公園への仮設運動場の整備などの手法で、学校過密化・教室不足・設備狭隘化の解決を図るとしている。

 分校設置は、別途出されている市立高校統廃合方針の実施を前提に、閉校で空きとなる市立高校の敷地を転用して設置することを検討しているという。このことは、高校統廃合の問題という別の課題も呼び起こすことにもなる。

 また校舎高層化についても、1階部分をピロティとし、ピロティを運動場と一体的に使うことで学校の敷地面積を確保するともしている。しかしピロティ方式では、校舎の耐震性への不安も指摘されることになる。

目先だけではなく、街づくりの課題として総合的に

 児童数急増の問題は、教育委員会所管の分野だけでは解決できるものではない。街づくり全体の問題ではないかといえる。

 学校や幼稚園・保育所などのインフラが従来通りのまま、受け入れのキャパシティをお構いなしに大量に住宅を建てれば、住宅の入居者が急増して受け入れが困難になるのは自明である。

 とりわけ小中学校は義務教育であり、国立・私立や特別支援学校に進学しない限りは、地域の子どもはすべて受け入れることになる。その時に受け入れられないのでは、重大なことになってしまう。

 小学校の児童数減少で、学校によっては複式学級になるほどの状況になったから統廃合した。そして廃校した小学校の敷地を売り払い、業者がタワーマンションを建て、大量の入居者で人口が増加し地域の小学校が過密状態になったというケースもある。これは都市計画のまずさに起因するのではないか。

 学校過密化・教室不足の見通しになったから対策するという対症療法的なことにとどまらず、都市計画・街づくりの課題としても、総合的な視点で考えていかなければならない。