広島市立中学校いじめ訴訟:最高裁は審理差し戻し

 「中学校2年生だった2001年5月頃から、同級生から継続的ないじめを受けたことが原因で統合失調症を発症した」などとして、広島市立中学校の元生徒の男性(現在21歳)がいじめ加害者や広島市などを訴えていた訴訟で、最高裁第一小法廷は1月21日、330万円の支払いを命じた二審広島高裁判決(2008年)を破棄して審理差し戻しをおこないました。

 被害生徒は広島市立幟町中学校(広島市中区)2年生だった2001年5月頃から、同級生4人から首を絞められる・小石を投げつけられる・文房具を壊されるなどのいじめを受けるようにになりました。いじめが原因で2002年6月に不登校となりましたが、加害者グループは自宅に押しかけて暴言を吐くなどしました。被害生徒は2002年11月、統合失調症と診断されました。
 一審広島地裁判決(2007年5月)ではいじめと統合失調症発症との因果関係を認め、660万円の損害賠償を命じる判決が出ています。二審広島高裁判決では引き続きいじめと統合失調症発症との因果関係を認めながらも、「仮にいじめに遭わなかったとしても統合失調症を発症した可能性がある」などとして賠償額を一審より減額しました。
 最高裁は「いじめに対する慰謝料まで減額した二審判断は誤り」と判断して差し戻しをおこないました。
 民事訴訟の性質上被害状況や責任割合は賠償額に換算されてしまうという事務的な問題はありますが、賠償額減額は不適切だと認定したことになり、賠償額を増額(=責任割合をより踏み込んで認定)する方向での是正の見通しとなりました。
 裁判の長期化という問題はありますが、被害を低く扱ったに等しい二審判決が是正される方向で動くことは妥当ではないかといえます。

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