学力テスト結果公表で…東京都のケースから

 文部科学省は全国学力テストを導入する方針が決めましたが、一足早く統一の学力テストを実施し、成績を公表している自治体ではどういう結果が出ているのか。『しんぶん赤旗』6月9日付に、東京都荒川区と足立区の実態を取材した記事が掲載されています。
東京の一斉学力テスト 子どもの心に深い傷〔『しんぶん赤旗』2006/6/9〕


 記事のサブタイトルには『学校を序列化・競争激化』『授業を削って「模擬試験」』『平均点アップへ欠席指導』と、何とも衝撃的なフレーズが3連発です。
 荒川区・足立区ともに、都の一斉学力テストに加えて、区独自の学力テストがおこなわれています。しかも両区とも、学校別の結果を一覧表にしてウェブサイト上で公開しています。
 これが両区の学校教育にどのような影響を与えているのか。記事によると、以下のような弊害が指摘されています。

  • 学力テストの点数を上げるため、繰り返し同じような問題や「過去問」をやらせる授業や指導が行われています。
  • 学校の平均点を上げるため、足立区内のある中学校では、テスト前日に担任が「最後まできちんと受けられないなら来るな」と生徒を指導し、少なくない男子生徒が欠席するという事態まで起こりました。
  • 「テストは国語も算数も、小学校低学年には圧倒的に分量が多い。四十分休まずやり続けて、やっと解ける内容。一つテストが終わるたびに、『お腹が痛い』と言う子が出る。給食後の昼休み、外の水道で吐いている子もいた。みんなストレスが大きかったようだ」とある教師は語ります。

 記事で指摘されているような実態は、まさに「百害あって一利なし」の典型例です。無意味な競争ばかりあおられ、児童・生徒だけでなく教師まで追いつめられるような、こんなテストのやり方が正当だといえるのでしょうか。
 また両区では、一斉学力テストと学校選択自由化がセットでおこなわれたため、人気校と不人気校の格差が固定化しました。記事によると、人気校・不人気校ともに、以下のような弊害が出ているということです。

 人気があって児童生徒が集中する学校では、教室が足りなくなったり、一人ひとりへの指導が行き届かなくなっているといいます。一方、抽選もれで不本意な学校に行くことで学習意欲がそがれる児童生徒がいたり、児童生徒数の減少で教師の数も減らされ、学力が低下し、「荒れ」がさらにひどくなるなどの事態も起こっています。

 果たしてこのような実態が、公教育として望ましいこととは思えません。
 全国学力テストに関しても、推進する側は競争を前面に打ち出しています。しかし、荒川区・足立区でおこなわれている学力テストのやり方・学校別の成績の公表では、学校教育の矛盾を強め、混乱と荒廃を持ち込む結果となっています。
 全国学力テストで、このような荒廃が全国各地に広まる危険性が危惧されます。「学力テストを実施するかどうかは各自治体教委・学校の判断を尊重すること」「実施する際は地域別・学校別の成績公表はしないこと」などを強く求めたいと思います。